AMHの検査が基準値よりも高いのは、いいことですか?

「AMHが高くても油断は禁物です。卵子の質を大切にする生活習慣をしましょう」

AMHが高い


AMH(Anti-Müllerian Hormone, アンチミューラリアンホルモン, 抗ミュラー管ホルモン)とは、一時期には “卵巣年齢” とも呼ばれ、妊活女性に不安を与えた検査です。

女性は、出生時には卵巣に200万個程度の卵胞を持っています。その数は、初潮を迎えるまでに自然減され、10歳ごろには30万個程度となります。35歳では5~7万個、つまり10歳ころから1/5程度となります。さらに37歳では35歳の半分の2.5万個程度、40歳では1/10の5000個程度まで減少するといわれています。つまり毎月1個の卵子を排卵するのに300~500個程度を消失することになります。AMHの検査は、このような卵巣内に残っている卵胞の数量を予見するのに役立つ検査です。


卵胞は排卵するまでに180日前後(約半年)かかるとされています。その成長過程における2次卵胞の時にAMHは分泌されます。そのため、AMHを測ることで卵巣内で活動している卵胞を知ることができます。AMHの中央値は30歳で約4、35歳で約2.6、40歳で約1.5、45歳で約0.4とされています。ですから、自身のAMHを測定することで自分の卵巣の中に残っている卵胞数を予測することができるわけです。しかし、このAMHは個人差が大きく、その数値と閉経年齢とに相関性が無いことがわかってきたため、最近では卵巣年齢という表現はされなくなっています。このように卵胞数の予測から、不妊治療においてはAMHが低いケースにおいて話題となることが多く、特に低い場合においては、早めに妊活を行うことを勧めます。


AMH値

ではそれに対して、AMHの検査の結果が基準値より高い場合において、卵巣はどういう状態でしょうか。

卵胞数が多い反面、うまく成長していない、排卵していないといった可能性を示唆します。例えば、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)といった疾患が当てはまります。そのため、AMHは一概に高ければいいというものではないのです。AMHが高い場合というのは、PCOSでなくとも、卵胞の発育から排卵までの過程において、時間がかかっていたり、スムーズではないと起こりやすくなります。それは、卵胞に必要な栄養が十分でなかったり、卵巣の血流が悪く滞っていたりといった体の環境も影響します。結果として、卵胞の質や卵子の質にも関係しますので、妊活において油断は禁物です。卵子の質を大切にする生活習慣を行うようにしてください。


多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは

AMHとは別に年齢と相関性があるものとして、染色体異常率があります。体年齢が上昇するにつれて染色体異常率も上昇し、35歳までは平均値で30%程度の異常率ですが、35歳以降は1歳加算されるごとに約10%上昇し、40歳では約70%にまで上がるとされています。
このため、35歳までに妊活を行うことをお勧めします。もし、その年齢を超えてから妊活される場合には、卵子に質がポイントになります。また、以前お話しした補腎活血法や三焦調整針法などを組み合わせて、できるだけはやく妊娠できるからだ作りを行っていきましょう。


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更新日:2023-12-02