妊活に大切な「腎精」の話
女性も男性も妊活には『腎』が大切です。
若さの源、「腎精(じんせい)」をチャージしましょう。
〜2000年の歴史が証明する確かな知恵「腎精」〜
『腎精』は妊娠を望む男女にはにとても大切なキーワードです。『腎精』は若さを保つ命のエネルギーのこと。これは、「アンチエイジング」という言葉で、美容にも健康にもよく使われています。中医学の世界では2000年前の昔からごく普通にあった考え方で、妊活においてはこの「腎精」がとても重要な鍵となります。
中医学の五臓六腑のうち「腎」が成長・発育・老化・生殖を司り、生命エネルギーの根源となる「腎精」を蓄えています。精とは、人の体を構成し、生命活動を維持する基礎物質であり、一般的に精と言えば腎精のことを示します。腎精は人が成長・発育・生殖を行う上で必要不可欠なのです。人体を構成する必要物質には、腎精以外にも、「気」「血」「津液」「神」があります。これらはお互いに密接な関係をもち、相互に補完しあい、生理的にも関係しています。
中医学では古くから腎の力の変化が「誕生〜発育~成長~老化~死」という人の一生に深く関わっていると考えられてきました。加齢により、腎の力はカーブを描きながら衰えていき、年齢によって気になる症状が現れやすくなります。この状態を「
特に、腎精が不足した「腎精不足」の体質では、女性ホルモンの減少、男性の精液減少や精力減退といった不妊に関係する症状が出やすくなります。ほかにも、脱毛、歯が弱い、耳鳴り、耳が遠い、物忘れ、手足に力が入らない、足腰が弱いといった不調が現れやすくなります。
中医学の視点からいうと「アンチエイジング」とは、腎の衰えのカーブをいかにゆるやかにしていくかということです。それには、腎精の維持や補充が役立つと考えられてきました。腎精が不足して腎虚の状態になれば、身体の不調が出やすくなり、閉経が近づくと更年期特有の症状などがみられるようになります。更年期障害は女性のみではなく、男性にも現れる場合があります。漢方や鍼灸、薬膳などで身体を整えバランスよくしておくことが大切です。
「腎精」を生かした妊活を
腎精とは生命エネルギーであり、人体の活動や機能を支える重要な物質のことです。また精には二種類あり、一つを「先天の精」、もう一つを「後天の精」と言います。
父母から受け継いだ生命エネルギー。母親のお腹の中の胎児時期から存在。
生後、主に飲食物から補う精。
出生時に「先天の精」を授かって生まれ、出生後、主に飲食物から「後天の精」が補われます。成長と共に、「腎精」の気が充足して満ちていくと、「天癸(てんき)」と呼ばれる物質を産生し、「天癸」は生殖器を発育させ生殖能力を高め、女性は月経、排卵、妊娠、出産ができ、男性は精子を産生すると考えられています。
ここで理解しておきたいことは、腎精は貯蔵するだけではなく、日々消費されるものだということです。生命活動をしているだけで消化される腎精ですが、睡眠不足やストレス、バランスの悪い食生活などは精を減らし、精を浪費していることになるのです。
また、出生後、幼少期より虚弱体質や発育不全ある場合は、先天の精の不足も考えられます。これは精子や卵子の頃~受精卵~胎児~出生までの、父母の腎精不足や体調不良などが考えられます。赤ちゃんという一人の命を産み育むためには、日々の食事や睡眠などの生活がとても大切です。
日々減りつつある「腎精」を補う漢方
私たちの生命活動にとても大切な腎精ですが、生命活動をしているだけで日々消費します。けれど、この腎精は補うこともできるのです。腎精を充足するためには、理にかなったバランスの良い食事・睡眠・運動が大切です。この三つは普段の生活の中で自分なりに心がけることができます。現代はセルフメディケーションが注目されていますが、予防医学は自分自身の健康に責任を持ち、より充実した人生を送るためにも意識を高めておくべきことです。
そして、更に取り入れて頂きたい方法が「漢方」と「鍼灸」と「薬膳」です。腎のバランスが崩れると、妊娠する力、妊娠を継続する力が弱まることから、不妊症では腎の機能を高め、腎の陰陽のバランスを調整することを一番に重視します。
腎精を補うためには「補腎益精(ほじんえきせい)」という方法を使用します。漢方薬では特に動物性生薬を積極的に使います。動物性生薬は「血肉有情の品」といって、生殖に適しているからです。妊娠力の高い体を作るために漢方や鍼灸、薬膳は有効ですので妊活のためにパートナーと一緒に取り入れることをお勧めします。
更新日:2023-12-02