皮膚疾患

繰り返す皮膚疾患を体質から整えましょう

東洋で育まれた東洋医学

西洋医学における皮膚病の治療は、ステロイド外用剤や抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤などの使用が主体となっています。近年、こういった対症療法(現れた症状に応じて処置を行うこと)と、漢方薬や鍼灸治療といった体質改善を組み合わせた『中西医結合医療』が注目されています。
中医学の理論では、皮膚が内臓と密接な関係を持つことから“皮膚は内臓の鏡”といわれています。皮膚の働きは、内臓の機能やバランスの良し悪しにより決定されるという意味です。皮膚の働きを強化するために、漢方や鍼炎を活用し、トラブルの原因となっている体質の調整や改善を行っていきましょう。中医学では長年悩んでいる症状、一旦治まってもまた繰り返す症状、なかなか治らずしつこい症状に対して、体質から変えていくことができます。

健康な皮膚とトラブル肌の違い

ターンオーバーが健康な皮膚を保つ

皮膚の細胞は、約28日かけて表皮の基底層から肌表面の角質層に上がっていき、最後は垢となって剥がれ落ちます(ターンオーバー)。このターンオーバーが正常なサイクルを保つことによって皮膚の健康と機能が保たれています。
健康な皮膚の働きには主に2つあり、1つ目は体内から必要物質(水分など)が流出しないように防ぐこと、2つ目は外界からの異物の侵入を防ぐことです。これらの働きを担っているのが表皮の一番上にある角質層ですが、トラブル肌の方はターンオーバーが乱れていたり、角質層の水分や脂質(セラミドなど)が不足し、皮膚のバリア機能が低下しているため、外界の異物や刺激が入りやすくなっています。

皮膚トラブル肌と健康肌の違い

セラミドとは?

セラミド(細胞間脂質)とは、皮膚の角質層において、細胞と細胞の間で水分や油分を抱え込み接着させる働きがあり、レンガのような強固な構造をとることでバリア機能の要となります。皮膚が敏感になりやすい体質の方の皮膚表面のセラミド量を測定してみると、正常な方より少ないことが分かっています。これにより、水分保持機能が弱いため、刺激物が容易に体内に侵入し、炎症や痒みなどを引き起こす原因となるのです。

中医学でみる皮膚トラブル

皮膚というのは、体の外側と内側を分けるもので、体の表面にあるため環境や気候といった外側からの影響を受けやすくなります。
また、内臓から栄養をもらって細胞が作られているため、内臓の働きの影響も受けます。
内臓の働きが低下すると、皮膚のバリア機能が弱くなり、皮膚トラブルの原因となります。

外側からの要因『外邪(六淫)』とは

中医学で考える外邪 (がいじゃ) (六淫 : りくいん) とは、体にとって悪影響となる外側からの刺激のことを言います。自然の気候である6種類の気候(六気 (ろっき) :風 (ふう) 、寒 (かん) 、湿 (しつ) 、熱 (ねつ) (火: か) 、暑 (しょ) 、燥 (そう) )は自然現象であり無害ですが、あまりに強すぎて過剰な状態であったりすると、六淫という邪気 (じゃき) になり体を襲うようになります。他にもその人のおかれている仕事や他事情による人工的な環境や極端な服装などによっても起こることがあります。

六淫と皮膚トラブルの特徴

六淫と皮膚トラブルの特徴

外邪によって皮膚トラブルの状態が異なります。
外邪は単独だけではなく複数の外邪の組み合わせで複雑な症状が見られることもあります。

中医学で考える五臓と皮膚トラブル

中医学で考える五臓と皮膚トラブル

“皮膚は内臓の鏡”と言われるように、中医学では内臓の働きを整えることが皮膚を正常にすることにつながります。中医学の内臓とは、西洋医学の臓器とは異なり、肝 (かん) ・心 (しん) ・脾 (ひ) ・肺 (はい) ・腎 (じん) という「五臓 (ごぞう) 」を指します。五臓の働きが整うことで、皮膚のバリア機能や働きが正常に保たれます。

ストレス・自律神経と深い関係「イライラ、緊張、体のコリ」

肝は自律神経の働きを整えて、気や血という栄養の巡りをコントロールしています。ストレスなどで肝の働きが悪くなると、気血の巡りが滞ることで熱化し、炎症や湿疹が生じやすくなります。アトピー性皮膚炎の場合、この熱が痒みを悪化させる原因となるのです。交感神経(緊張)と副交感神経(リラックス)が入れ替わるときに痒みが強くなる方も肝のコントロールが必要でしょう。また、血液の巡りが悪くなると瘀血 (血が滞る体質) が生じやすくなるので、シミや色素沈着の原因となることがあります。

睡眠と深い関係「睡眠不足、血色」

心は血液循環を司り、皮膚の栄養状態を維持しています。気や血といった栄養物質の不足により心の機能が低下すると皮膚の艶がなくなったり乾燥したりと皮膚トラブルの原因となります。また心は神明 (しんめい) という大脳の働きを司るため、精神機能に関与し睡眠のコントロールを行っています。そのため、アトピー性皮膚炎などで痒みが強く眠れない場合は、精神を安定させる安神法 (あんじんほう) で心の調整を行う必要があるでしょう。

胃腸と深い関係「疲れやすい、お腹がはる、下痢」

脾は食べ物を消化吸収して気や血といった栄養を作り出す働きをしています。脾の働きが悪いと気や血が不足し、体全体のエネルギーが低下するため皮膚の力が弱くなります。また脾が弱くなると、消化がうまくいかず、痰湿というドロドロとした老廃物が溜まりやすくなり、ジュクジュクとした滲出液をともなった痒みのある皮膚トラブルの原因となります。

皮膚と関係が深い「アレルギー、毛穴、便秘」

肺は呼吸器や皮膚を司り、外邪(体に悪影響を与える外からの刺激)から体を守る働きがあります。衛気 (えき) と呼ばれる体表のエネルギーが毛穴の開閉のコントロールや皮膚のバリア機能を直接支えています。肺の働きが悪くなると、防御機能が低下し、皮膚トラブルをはじめ、花粉症、喘息などのアレルギー疾患を引き起こす原因となります。また、肺は大腸との深いつながりがあり、便秘になると毒素が血中を巡り皮膚トラブルを悪化させることが分かっています。日頃から腸内環境を整え、毎日の排便習慣をつけるようにしましょう。

成長・発育と関係が深い「加齢、ホルモンバランス、免疫」

腎は成長・発育・骨を司り、骨髄を生むため免疫の根本を支えています。そのため、腎の働きが落ちると免疫機能の乱れが生じやすくなり、皮膚の炎症反応がひどくなったり長期化することがあります。ステロイド剤の乱用などによっても体内のホルモンのバランスが乱れ、皮膚トラブルの難治化につながることがあります。ステロイド剤は皮膚科のドクターの指示に従い正しく使用するようにしましょう。また、加齢によって腎の機能が落ちると、老化スピードが上がるため、皮膚の乾燥やしわやシミの原因となります。

皮膚トラブル改善の3ステップ

皮膚トラブル改善の3ステップ
STEP 01
痒みや炎症を抑える

痒みや炎症は、中医学では熱の病態と考えて治療します。熱の状態にもタイプは複数あります。例えばジュクジュクするのは湿 (しつ) と熱 (ねつ) が合わさった湿熱型 (しつねつがた) で、炎症の程度によって分泌物は水っぽく透明なものから黄色のものまで様々です。カサカサして夜中に痒みがでるのは血熱型 (けつねつがた) で、ポリポリからガリガリまで掻きむしり方が分かれます。その結果、朝方に布団に粉が落ちている程度から血だらけの状態まであります。
まずは炎症をとることで、皮膚へのダメージを抑えながら、症状を緩和していきます。

STEP 02
皮膚を丈夫にする

いくら炎症を抑えても、皮膚が丈夫にならなければ新たな炎症がまた生まれ、症状を繰り返します。皮膚のバリア機能を高めるのに、富山医科薬科大学などの研究で漢方薬が有効であると報告されています。実際に漢方薬を使用する場合は、中医学の理論に基づき、体質に合わせて用いることで、内臓を強化し皮膚のバリア機能を回復させ、肌を丈夫にしていきます。

STEP 03
環境の変化に順応できる皮膚作り

日本には四季があり、梅雨や残暑、秋口や春先などの季節の変化により皮膚状態が左右されます。環境の変化にしっかりついていけるように漢方や鍼灸により体質を整えていきます。また、炎症によるダメージを受けていた皮膚は黒ずみやシミ、たるみなどに繋がることも。皮膚の新陳代謝を整え、より美しい肌を目指していきます。

皮膚疾患での中医学的ケア

皮膚疾患でよく用いられる漢方

皮膚疾患でよく用いられる漢方

・清熱薬(せいねつ)(体内の不要な熱をとりさる)
馬歯莧(ばしけん)、生地黄(しょうじおう)、黄連(おうれん)、苦参(くじん)など
・安神薬(あんじん)・清肝瀉火薬(せいかんしゃか)・疎肝理気薬(そかんりき)(精神機能や睡眠、自律神経をコントロール)
夜交藤(やこうとう)、竜骨(りゅうこつ)、竜胆草(りゅうたんそう)、柴胡(さいこ)など
・補益薬(ほえき)(皮膚のバリア機能を高める)
黄耆(おうぎ)、白朮(びゃくじゅつ)、党参(とうじん)、山薬(さんやく)など

皮膚トラブルで使用される漢方は多岐にわたります。実際にはその方の症状や体質に合わせた組み合わせが必要です。専門のアドバイザーにご相談ください。

皮膚疾患の鍼灸でよく使用されるツボ

頭部、手足、腹部、背部などに施術します。体を3つのパーツに分け、
上焦 (じょうしょう) (肺・心)、中焦(ちゅうしょう) (肝・ 脾)、下焦 (かしょう) (腎) のバランスを整えて全身を調整します。

皮膚疾患の鍼灸でよく使用されるツボ

漢方と鍼灸の併用

漢方と鍼灸は中医学の両輪です。併用することによって漢方の良さ、鍼灸の良さをうまく生かした働きが期待できます。

漢方の力 皮膚の炎症・腫れ・痒みのコントロール、内臓の力や皮膚バリア機能の向上
鍼灸の力 皮膚の炎症・腫れ・痒みのコントロール、自律神経の調整、消化器サポート

スキンケアとセラミド

皮膚のケアには、体の中からの体質改善とともに、外からのスキンケアも大切です。
スキンケアは単に不足した成分を補ったり、皮膚トラブルを抑えるのではなく、漢方本来の力を借り、自らの力で皮膚のバリア機能を高め、
トラブルを修復する力を取り戻すスキンケアをおすすめしています。

セラミドはどこから作られる?

セラミドが配合された化粧品もありますが、実はセラミドは外から補う成分ではなく、自分の体内で作っている成分です。ターンオーバーの過程において顆粒層から角質層に変化する際に、細胞内から生み出されます。
セラミドは現在分かっているだけで、12種類確認されています。各セラミドのバランスは人によって異なるため、ターンオーバーを整え自分でセラミドを作れる肌にしていきましょう。

セラミドはどこから作られる?

月経周期による肌状態の変化

女性においては、生理のリズムに合わせたスキンケアや、漢方や鍼灸による月経周期に合わせた体質改善(周期調節法)が美肌作りをする上でかかせません。
乾燥肌なのに生理前にニキビができたり、普段は脂っぽいのに生理の時だけカサついたり・・・、女性ホルモンの働きに合わせて皮膚の状態は変化しています。
周期に合わせたスキンケアを行い、皮膚トラブルを解決するようにしましょう。

月経周期による肌状態の変化

肌トラブルがある方のための養生の手引き

積極的に摂った方が良いもの
主食 米(玄米・胚芽精米)、あわ、ひえ、とうもろこし、そば、玄米パン、胚芽パン、ライ麦パン
野菜類・食物繊維 小松菜、春菊、ほうれん草、キュウリ、苦瓜、かぼちゃ、人参、トマト、キャベツ、白菜、レタス、もやし、バナナ、大根、蓮根、ごぼう、山菜、きのこ類、芋類、冬瓜、蒟蒻
豆類・発酵食品 大豆、枝豆、えんどう豆、小豆、いんげん、ゴマ、納豆、がんもどき、ゆば、味噌、豆腐、糠漬け、豆乳
魚介類・海藻類 サケ、アジ、イワシ、あさり、しじみ、かつお、さんま、マグロ、たら、牡蠣、しらす、煮干し、のり、わかめ、ひじき、昆布
調味料 オリゴ糖、自然塩、オメガ3系の油(シソ油、えごま油、アマニ油等)
はとむぎ茶、どくだみ茶、緑茶、麦茶、焙じ茶
なるべく摂らない方が良いもの
主食 白米、もち米、小麦粉製品(うどん、スパゲッティ、ピザ等)
清涼飲料など ジュース、コーラ等の炭酸飲料、アルコール類
甘いもの お菓子全般(ケーキ、チョコ、アイスクリーム、クッキー、羊羹、せんべい等)、菓子パン
油っこいもの 肉類の脂身(牛・豚)、ハンバーグ、マーガリン、バター、チーズ、マヨネーズ、ベーコン、揚げ物全般、スナック菓子
加工品 インスタント食品全般、ファーストフード、食品添加物
塩味・辛味が強いもの スジコ、タラコ、塩辛、キムチ、唐辛子、生姜、らっきょう、ネギ、ワサビ
調味料 白砂糖、化学塩、化学調味料、オメガ6系の油(ベニバナ油などのサラダ油等)
その他 卵、牛乳、ヨーグルト、カフェインを多く含むもの(コーヒーや紅茶)、古い油、生もの(刺身など)

食事の心得

  • ①食事の量は腹7・8分目を心がけましょう。
  • ②冷たい飲食物は避け、温かいものを食べましょう。
  • ③加工食品は控えめにしましょう。
  • ④時間をかけて、ゆっくり噛んで食べましょう。
  • ⑤洋食より和食を心がけましょう。
  • ⑥間食は控えめにしましょう。
  • ⑦規則正しい時間に食事をとるようにし、夜遅くに食事をしないようにしましょう。

日常の心得

  • ①毎日の排便を心がけましょう。 便秘により排泄処理できなかった毒素が皮膚から排出され、炎症や痒みの原因となります。
  • ②睡眠の質を高めましょう。 皮膚の生まれ変わりなど、新陳代謝にかかわる成長ホルモンは寝付いてから
  • ③ストレスを溜めないようにしましょう。 ストレスにより痒みの原因となる活性酸素が増えたり、アレルギー反応が出やすくなったりすることがあります。
  • ④お風呂はぬるま湯(38~39℃)で、短時間の入浴を心がけましょう。 熱いお湯に入るとその刺激で痒みが増し、皮膚表面の皮脂も流され、乾燥させてしまいます。
  • 他にも、爪を短く切っておく、皮膚に触れる肌着やシャツは綿の物を選ぶ、お風呂に入る際に石けん、シャンプー等は無添加・低刺激の物を使用するなど、気を付けるようにしましょう。
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