店舗お知らせ

池袋
2026/07/31

「5AAだから大丈夫」ではない。でも、「3BBだからダメ」でもない【三谷店長の妊活の教科書#13】

「先生、この胚は5AAでした。」

 

妊活のご相談をしているとこの言葉をよく耳にします。

 

そして続けて、

 

「これなら妊娠できますよね?」

 

あるいは、

 

「今回は3BBだったのでもう望みはないですよね。」

 

同じ「胚盤胞」という言葉でもその受け止め方は人それぞれです。

 

でも実はこのグレードには少し誤解されやすい部分があります。

 

5AAや4AAという評価は胚盤胞の見た目を評価したものです。

 

どれくらい発育しているか。

赤ちゃんになる部分や胎盤になる部分がどのように見えているか。

 

そういった情報をもとに付けられた評価です。

 

だからといって、

 

「5AAだから染色体も正常です。」

 

とは言えません。

 

逆に、

 

「3BBだから妊娠できません。」

 

ということもありません。

 

実際にご相談を受けているとAAの胚盤胞で何度も移植しても結果が出ない方もいれば、BBの胚盤胞で元気な赤ちゃんを出産された方もおられます。

 

もちろん一般的にはグレードが良い胚ほど妊娠率が高い傾向はあります。

 

でもそれはあくまで確率の話です。

 

一つひとつの胚にはその胚だけの可能性があります。

 

だから私はご相談に来られた方へは、

 

「グレードだけで一喜一憂しすぎなくて大丈夫ですよ。」

 

とお伝えすることが多いです。

 

妊活はどうしても数字やアルファベットに心が振り回されてしまいます。

 

AMH。

 

FSH。

 

4AA。

 

Day5。

 

PGT-A。

 

もちろんどれも大切な情報です。

 

でもその数字だけでその方の未来まで決まるわけではありません。

 

相談室で一番大切なのは、子供その検査結果を一緒に整理し不安を少しでも小さくすることだと思っています。

 

検査結果を見ることも大切ですが、その結果に振り回されすぎないことも同じくらい大切なのかもしれません。

池袋
2026/07/24

移植なのに、なぜホルモン剤を使うの?【三谷店長の妊活の教科書#12】

「次の移植はホルモン補充周期でやります」

 

不妊治療をしていると、クリニックでこんな説明を受けることがあります。

 

エストラーナテープを貼ったり、ジュリナやプレマリンを飲んだり、その後は黄体ホルモンの薬が追加されたり。

 

採卵するわけでもないのに、どうしてこんなにホルモン剤を使うんだろう。

 

相談をしていると、意外とここがよく分からないまま治療を受けている方は少なくありません。

 

凍結した胚を子宮に戻す「凍結融解胚移植」では、胚をただ子宮に戻せばいいわけではありません。

 

大切なのは

 

胚の成長段階と、子宮内膜の状態を合わせること。

 

そのための方法として、大きく「自然周期」と「ホルモン補充周期」があります。

 

自然周期では、自分の卵胞が育つ力を利用します。

 

卵胞が育つとエストロゲンが分泌され、子宮内膜が厚くなっていきます。

 

その後、排卵すると卵胞が黄体に変わり、今度はプロゲステロンを分泌します。

 

このプロゲステロンによって、厚くなった内膜が胚を迎え入れられる状態へ変化していきます。

 

つまり自然周期では、

 

卵胞が育つ

↓

エストロゲンが増える

↓

内膜が厚くなる

↓

排卵する

↓

黄体ができる

↓

プロゲステロンが増える

↓

移植

 

という、自分自身の月経周期を利用しています。

 

一方、ホルモン補充周期では考え方が違います。

 

こちらは自分の排卵に合わせるのではなく、薬を使って移植に適した子宮内膜を作っていきます。

 

月経が始まったあと、エストラーナテープやジュリナなどのエストロゲン製剤を開始します。

 

まずエストロゲンで子宮内膜を厚くしていきます。

 

そして内膜が十分に育ったことを確認したら、今度はプロゲステロンを開始します。

 

日本で承認されているエストラジオール製剤の添付文書でも、ホルモン補充周期ではエストラジオールで内膜を肥厚させた後、黄体ホルモンによって内膜を分泌期へ変化させるという仕組みが示されています。

 

ここで知っておいてほしいことがあります。

 

プロゲステロンを開始する日は、単に薬が一つ増える日ではありません。

 

私は妊活中の方に説明するとき、

 

「ここから子宮内膜の時計が動き始めると考えてください」

 

とお話しすることがあります。

 

胚にも時間があります。

 

たとえば5日間成長したDay5胚盤胞を移植するなら、子宮内膜側もそれに合った状態になっていなければなりません。

 

だからホルモン補充周期では、プロゲステロンを開始してからの時間を管理して移植日を決めていきます。

 

良い胚があればいつ戻してもいい、というわけではないんですね。

 

そして自然周期とホルモン補充周期の違いを理解するうえで、もう一つ重要なのが「黄体」です。

 

自然周期では排卵します。

 

そのため黄体があります。

 

一方、一般的なホルモン補充周期では排卵を利用しないため、黄体がありません。

 

このためホルモン補充周期では、エストロゲンとプロゲステロンを外から補うことが重要になります。自然周期では自分自身のホルモンと黄体を利用するのに対し、ホルモン補充周期では外から投与するホルモンに依存して内膜を準備する、というのが大きな違いです。

 

だから妊娠判定で陽性になっても、

 

「もう妊娠したから薬はいらないよね」

 

と自己判断で黄体ホルモンを中止してはいけません。

 

特にホルモン補充周期では、クリニックから指示された期間はきちんと薬を続けることが大切です。

 

では、自然周期とホルモン補充周期はどちらが優れているのでしょうか。

 

これは単純に「こちらの方が妊娠しやすい」と言えるものではありません。

 

自然周期は自分の排卵を利用できる一方、卵胞の成長やLHサージなどを追いながら移植日を決める必要があります。

 

ホルモン補充周期は薬で内膜を作るため、排卵が不規則な方でも管理しやすく、移植日を調整しやすいというメリットがあります。

 

現在も両者のメリット、デメリットについて研究が続いています。

 

漢方相談でも、

 

「来週、移植します」

 

だけでは情報として十分ではありません。

 

私は、

 

「自然周期ですか?ホルモン補充周期ですか?」

 

「今はエストロゲンだけですか?もう黄体ホルモンも始まりましたか?」

 

「内膜は何mmでしたか?」

 

と確認します。

 

同じ「移植前」でも、今どの段階にいるのかによって身体の状況がまったく違うからです。

 

漢方についても、ホルモン補充周期だから特定の漢方を使うわけではありません。

 

クリニックではエストロゲンとプロゲステロンを使って、かなり精密に移植のタイミングを作っています。

 

そこに対して漢方で無理に「女性ホルモンを増やそう」「排卵させよう」とする必要はありません。

 

むしろ睡眠が崩れていないか、食欲が落ちていないか、便秘がひどくなっていないか、疲れが強くなっていないか。

 

そして元々どんな月経や体調だったのか。

 

私はそういった部分を見ながら、その方自身の身体を整えていくことを大切にしています。

 

不妊治療の薬は、名前だけを見ると難しく感じます。

 

でも、

 

自然周期は「自分の排卵に合わせて内膜を作る」

 

ホルモン補充周期は「薬で内膜の時間を作る」

 

まずはこの違いだけ覚えておけば十分です。

 

自分が今どちらの方法で、治療のどの段階にいるのか。

 

それが分かるだけでも、毎日使っている薬の意味が少し見えてくると思います。

池袋
2026/07/22

「卵胞はたくさんありますね」と言われたのに妊娠しにくい理由【三谷店長の妊活の教科書 #7】

「卵胞はたくさんありますね。」

 

婦人科でそう言われると、「卵子がたくさんあるなら妊娠しやすいのかな」と思う方も多いのではないでしょうか。

 

実は、それは少し違います。

 

PCOSってどこかで聞いたこともある方は多いと思います。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、卵胞が少ない病気ではありません。

 

むしろ、小さな卵胞がたくさんある状態です。

 

問題は、その中から排卵するための一つの卵胞が最後まで育たないことです。

 

本来は複数の卵胞が育ち始め、その中から一つだけが大きく成長して排卵します。

 

ところがPCOSでは、途中で発育が止まってしまう卵胞が多く、排卵までたどり着けません。

 

その結果、月経周期が40日以上になったり、何か月も月経が来なかったり、不妊の原因になることがあります。

 

現代医学では、レトロゾールや排卵誘発剤を用いて排卵を促すことが治療の中心になります。

 

では、中医漢方ではどのように考えるのでしょうか。

 

中医漢方にはPCOSという病名はありません。

 

その代わり、「なぜその人は排卵しにくい状態になっているのか」を考えます。

 

例えば、体重が増えやすく、むくみやすい方では「痰湿」が関係していることがあります。

 

余分な水分や老廃物が停滞することで、卵胞が十分に成熟しにくいと考え、胃腸の働きを整えながら水分代謝を改善していきます。

 

一方、仕事や人間関係のストレスが続くと月経が遅れたり、胸の張りやイライラが強くなる方では、「肝気鬱結」が背景にあることがあります。

 

中医漢方では、気の巡りを整えることで、規則正しい排卵周期を目指します。

 

また、月経痛が強く、血の塊が多い方では「瘀血」を疑います。

 

骨盤内の血流を改善し、子宮や卵巣へ十分な血液が届きやすい状態を目指すことも大切な治療になります。

 

さらに、月経量が少なく、疲れやすく、腰がだるい方では「腎虚」が背景にあることも少なくありません。

 

このような場合は、卵胞を育てる力そのものを補うことを目的に治療を組み立てます。

 

つまり、同じPCOSという診断でも、全員が同じ漢方薬になることはありません。

 

病名ではなく、「その人がなぜ排卵しにくいのか」を考える。

 

そこが中医漢方の特徴です。

 

今日からできる養生

 

PCOSの方では、インスリンが多く分泌されることで、排卵に影響を及ぼすことがあります。

 

だからといって、極端な糖質制限をする必要はありません。

 

まず意識していただきたいのは、血糖値を急激に上げない食べ方です。

 

例えば、

 

・野菜から食べる

・よく噛んでゆっくり食べる

・甘い飲み物を水やお茶に置き換える

・食後に10〜15分歩く

 

こうした小さな習慣でも、血糖値の急上昇を抑えやすくなります。

 

中医漢方でも、胃腸の働きを整え、気血の巡りを良くすることは、女性の健康を支える基本と考えます。

 

PCOSは、「排卵しない病気」ではありません。

 

排卵しにくくなっている理由を見つけ、その原因に合わせて現代医学と中医漢方、それぞれの得意分野を生かしていく。

 

それが、妊娠への一番の近道だと私は考えています。

池袋
2026/07/14

「生理が来ているから大丈夫」と思っていませんか?【三谷店長の妊活の教科書 #6】

相談をしていると、「生理は毎月来ています」という言葉を本当によく耳にします。

 

確かに月経が来ていることは大切です。

 

でも実は、それだけでは正常とは言えません。

 

現代医学では、正常な月経にはきちんと基準があります。

 

周期は25〜38日、毎月のズレは7〜9日以内が一つの目安です。

 

例えば今月は27日、来月は41日、その次は30日。

 

こうした状態を「昔からだから」と気にしていない方は少なくありません。

 

もちろん、それだけで病気というわけではありません。

 

ただ、その背景に排卵の乱れやホルモンバランスの変化が隠れていることがあります。

 

だから私は、月経は女性の体から毎月届く「健康診断の結果」だと思っています。

 

中医漢方でも、月経は体の状態を映す鏡と考えます。

 

疲れが続いているのか。

 

血が不足しているのか。

 

冷えが強いのか。

 

ストレスの影響を受けているのか。

 

同じ月経不順でも、その背景は人によってまったく違います。

 

だからこそ私は月経周期だけではなく、月経量や経血の色、睡眠や胃腸の調子まで含めてお話を伺っています。

 

数字だけでは見えてこない、その方の体質を知るためです。

 

今日からできること

 

まずは月経を記録してみてください。

 

生理が始まった日だけではなく、

 

「何日続いたのか」

 

「量は多かったのか少なかったのか」

 

「血の塊はあったのか」

 

「月経痛はどうだったのか」

 

ここまで記録している方は意外と少ないものです。

 

こうした情報は、婦人科でも中医漢方でも、とても大切な手がかりになります。

 

月経は毎月やってくる体からのメッセージです。

 

ただ「来た」「終わった」で終わらせるのではなく、その変化に少しだけ目を向けてみる。

 

それが将来の妊娠や更年期の健康につながる第一歩になると私は思っています。

池袋
2026/07/13

排卵誘発剤は「妊娠しやすくする薬」ではなく、「チャンスを増やす薬」です。【三谷店長の妊活の教科書 #5】

「排卵誘発剤は体に負担がかかるので、できれば使いたくありません。」

 

漢方相談をしていると、このような不安をよく耳にします。

 

確かに、薬を使うことに抵抗を感じる気持ちは自然なことです。

 

しかし、排卵誘発剤は「妊娠しやすくする魔法の薬」でも、「無理やり卵子を作る薬」でもありません。

 

本来は、その方の卵巣の状態や治療の目的に合わせて、妊娠につながるチャンスを増やすために使う薬です。

 

例えば、タイミング法や人工授精では、排卵を確実に起こしたり、排卵日を予測しやすくしたりする目的で使用します。

 

一方、体外受精では目的が異なります。

 

自然周期では通常1個しか排卵しませんが、採卵では複数の卵子を採取できた方が、受精や胚盤胞まで育つチャンスが増えます。そのため、排卵誘発剤で複数の卵胞を育てます。

 

ここで大切なのは、「たくさん採れれば良い」というわけではないことです。

 

年齢やAMH、これまでの採卵結果をもとに、その方にとって最適な刺激法を選択することが、不妊治療では何より重要になります。

 

中医漢方は、排卵誘発剤を否定するものではありません。

 

むしろ、現代医学の治療を受けながら、その治療を最後まで続けられる体づくりを支えることが役割だと考えています。

 

採卵を繰り返している方の中には、

 

「最近疲れやすい」

 

「月経量が減ってきた」

 

「眠りが浅くなった」

 

と感じる方が少なくありません。

 

中医漢方では、このような変化を「腎精不足」や「血虚」といった体質の変化として捉えます。

 

もちろん、排卵誘発剤がこれらを直接引き起こすと証明されているわけではありません。しかし、不妊治療が長くなるほど、身体的・精神的な負担が積み重なり、体調の変化として現れる方は少なくありません。

 

だからこそ、中医漢方では検査データだけでなく、睡眠、食欲、月経の状態、疲労感、冷えなども含めて、その方全体の状態を整えていきます。

 

今日からできる食養生

 

ホルモンは、毎日の食事から摂る栄養を材料に作られます。

 

特に意識したいのは、

 

* 魚、卵、大豆製品などの良質なたんぱく質

* 青魚やナッツ、オリーブオイルなどの良質な脂質

* 緑黄色野菜や海藻類

* 味噌や納豆、ヨーグルトなどの発酵食品

 

を毎日の食事に取り入れることです。

 

中医漢方では「脾胃は後天の本(ひいはこうてんのほん)」と言い、胃腸は気血を作る源と考えます。

 

どれほど良い漢方薬を服用しても、胃腸の働きが弱ければ十分に吸収されません。

 

妊活では、高価なサプリメントを探す前に、まず毎日の食事を整えることが、未来の体づくりにつながる第一歩です。

 

現代医学は、妊娠の可能性を広げるための治療を行います。

 

中医漢方はその治療を受ける体を整え、支えることを得意としています。

 

この二つは対立するものではなく、お互いの長所を生かすことで、患者さんにとってより良い妊娠への道につながります。