自律神経失調症でよくみられる
症状と漢方薬の治療

はじめに

自宅では正常な血圧なのに、病院で測ると高くなるという人は意外と多いのではないでしょうか?これはいつもと違う場所や、不安や緊張などの精神状態で測ると、交感神経が刺激されて血圧が高くなってしまうというものです。このように、血管は自律神経によってコントロールされているため、自分の意思で動かすことができません。自律神経は血管以外にも心臓や呼吸、血液循環、消化吸収や代謝、汗の分泌、体温、尿や便の排泄など、身体の最も基本的な働きをしています。




自律神経失調症の原因

自律神経失調症は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることによって生じます。原因には色々ありますが、過剰なストレスや不規則な生活をはじめ、神経質や几帳面な性格などで引き起こされると考えられています。
女性の場合は月経、妊娠、出産、閉経に伴う女性ホルモンの変動があるため、ホルモンバランスの乱れが自律神経に影響することがあります。
女性に出やすい症状としては、生理不順などの婦人科症状、手足の冷え、めまい、立ちくらみ、頭痛、イライラや憂うつといった情緒失調などがあり、閉経前後に起きる更年期障害は自律神経失調症の一つです。

ご相談の多いお悩み

病名・症状一覧



中医学でみる自律神経失調症

中医学では、自律神経と関係が深い“ かん ”という臓腑の働きが乱れると自律神経に不調が起こりやすいとされています。これは、中医学において肝が“ 気機 きき ”という気の循環のコントロールを行っており、全身の調整管理をしているためです。





自律神経失調症の治し方は?

規則正しい生活を

まずは食事や睡眠など規則正しい生活を送るようにしてみましょう。自律神経失調症は、ストレスや緊張感が強い交感神経の過剰興奮で起こることが多いので、有酸素運動(ウォーキング、スイミング、スクワット)、ヨガ、ストレッチなどをすると副交感神経活動とのバランスがとれやすくなります。

Youtube ストレッチポール使い方講座


中医学に頼る

病院に行っても身体の不調の原因が分からない、検査をしても悪いところが見つからない、病院に行くほどではないが気になる不調が続いている…。そのようなときは中医学にぜひ頼ってください。


自律神経失調症で使われることの多い漢方薬の一例

・ 四逆散 しぎゃくさん
・・・手足の冷え,胃腸症状,うつ症状

 

・ 加味逍遥散 かみしょうようさん
・・・PMS,更年期,のぼせ,イライラ,うつ症状

 

・ 黄連解毒湯 おうれんげどくとう
・・・のぼせ,頭痛,蕁麻疹,多汗

 

・ 柴胡加竜骨牡蛎湯 さいこかりゅうこつぼれいとう
・・・イライラ,動悸,不眠,めまい,耳鳴り

 

・ 桂枝加竜骨牡蛎湯 けいしかりゅうこつぼれいとう
・・・易疲労,多汗,冷え,耳鳴り

 

・ 加味帰脾湯 かみきひとう
・・・無気力,うつ症状,記憶力低下,めまい,不眠,胃腸症状

 

・ 柴芍六君子湯 さいしゃくりっくんしとう
・・・ストレス性食欲不振などの胃腸症状,易疲労

 

・ 柴朴湯 さいぼくとう
・・・喘息,神経性咳嗽,梅核気

 

軽い症状ではただの疲れや寝不足によるものと考えがちですが、ご自身の日々の体調をチェックして早めの対策ができるようにしましょう。



公開日:2023-08-26
更新日:2023-08-26

他のコラムを読む