「自律神経失調症」を体質で考える

更新日:2023.11.20

 

 

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「自律神経失調症」を体質で考える

「自律神経失調症」を体質で考える

自律神経とは、交感神経と副交感神経に分類され、意識とは関係なく自動的に働いて全身を調整しているものです。交感神経は日中活動時に、副交感神経はリラックスしている時に活発になり、互いに拮抗してバランスを保っています。この働きは、常に一定の状態に保たれており、生命維持に欠かせないものです。自律神経失調症は、過労やストレスなどで交感神経あるいは副交感神経が過剰に緊張し、そのバランスが崩れた状態をいいます。

 

自律神経失調症の原因と症状

様々な原因がありますが、ストレスや不規則な生活習慣、女性の場合はホルモンバランスの乱れ(甲状腺ホルモン・女性ホルモン)などにより生じることが多いようです。

 

主な症状としては、動悸、息切れ、耳鳴り、疲労倦怠感、偏頭痛、ほてり、便秘、多汗、手足のしびれ、頻尿、冷えなどです。精神的な症状としては、イライラ、不安感、抑うつ、不眠、気分の落ち込み、無気力、感情の起伏が激しいといったことも見られます。

治療には、緊張や不安を取り除く抗不安薬のほか、抗うつ剤、睡眠薬、ホルモン剤(女性の場合)といった薬が使われたり、カウンセリングによる問題解決や認知行動療法を行うこともあります。

「自律神経失調症」を体質で考える
「自律神経失調症」を体質で考える

「自律神経失調症」を体質で考える
 

漢方で考える自律神経失調症

中医学では、自律神経を司る“ かん ”の働きが乱れると自律神経失調症といった不調が起こると考えます。実際の症状としては、精神活動、気血の運行、消化活動の調節に影響を及ぼします。強いストレスで食欲に異常がでたり、便秘や下痢になったりするのはそのためです。

 

では、どういった原因で“肝”の働きが乱れるのかというと、イライラや激しい怒り、思い通りにならない不満などの感情によって起こることがあります。“肝”を含む五臓 ごぞう は、七情 しちじょう と呼ばれる“怒・喜・思・憂・悲・恐・驚”の感情を過度に感じると五臓を傷めるためです。感情以外に、季節の変わり目や環境の変化といった外的要因や、身体的な負担や栄養不足、睡眠不足などの内的要因によっても“肝”の働きが乱れます。

 

五臓はお互いに支えあったり、コントロールしあって、バランスを保っていますので、“肝”の不調が現れることで、他の臓腑にも負担がかかり、“肝”以外の臓腑の症状が伴うことも多く見られます。

 

 

 

 

体質改善のための中医学体質別治療法

肝鬱化火 かんうつかか 体質
ストレスなどの精神刺激により熱が生じている状態。
主な症状:イライラしやすい、情緒不安定、手足の冷え、頭痛、目の充血など。

強いストレスによって、自律神経が失調しているタイプです。ストレスが過剰になると気の流れをコントロールできず、流れが詰まることで熱を持ちやすくなります。気の巡りを整え、熱症状を抑えるような漢方薬を用います。

 

漢方

柴胡加竜骨牡蛎湯、加味逍遙散など

ツボ

太衝、行間など

食材

ミント、ジャスミン、緑茶、春菊、セロリ、豆腐、トマトなど

 

 

痰熱内擾 たんねつないじょう 体質
余分な水分と熱が体内に停滞することで、精神不安になりやすい状態。
主な症状:寝つきが悪く夢をよく見る、不安感、胃やみぞおちのつかえ、痰が多い、頭重など。

甘いものや、味の濃いもの、アルコールなどの暴飲暴食や消化機能が低下したタイプで、身体の中に余分な老廃物(痰湿)と熱がたまっています。それによって精神状態にも影響します。痰湿の排出を促して気の巡りを助け、消化を助けたり、熱症状を抑えるような漢方薬を選びます。

 

漢方

温胆湯、竹茹温胆湯など

ツボ

豊隆、内庭など

食材

きゅうり、すいか、冬瓜、ハトムギ、緑豆、里芋、小豆など

 

 

心脾両虚 しんぴりょうきょ 体質
疲労や貧血などで身体に必要な気や血(けつ)が不足している状態。
主な症状:不眠、動悸、物忘れ、疲労感、めまい、食欲不振、冷えなど。

思い悩む性格であったり、元々胃腸が弱かったりするタイプです。気や血が不足することで精神不安も起こります。体に必要な気や血を補い、自分で気や血を作れるように体質改善したり、胃腸を強くしながら、身体をリラックスする漢方薬がお勧めです。

 

漢方

帰脾湯、人参養栄湯など

ツボ

足三里、三陰交など

食材

小麦、牛乳、牡蠣、卵、人参、ほうれん草、ライチ、ピーナッツなど

 

 

心腎不交 しんじんふこう 体質
加齢や心労、過労により、身体の陰分(体液)が不足し、相対的に熱が強くなっている状態。
主な症状:動悸、のぼせ、耳鳴り、物忘れ、足腰がだるい、手足のほてり、口内炎など。

身体の体液が不足し、精神の興奮によって熱がこもるため、脳を鎮静することができないタイプです。津液や陰分を補い、余分な熱を冷ましながら、気の巡りを調整する漢方薬を使用します。

 

漢方

天王補心丸、黄連阿膠湯など

ツボ

神門、腎兪など

食材

牛乳、牡蠣、豚肉、鴨肉、きゅうり、トマト、ハスの実など

 

 

 

自律神経失調症の鍼灸治療

ストレスにより気血の運行がうっ滞した状態であるため、鍼やお灸で交感神経と副交感神経のバランスを調整して改善していきます。また、過労や精神的ストレスを抱えている人の多くは、首や肩、背中にこりや痛みを抱えていることが多いため、筋肉の緊張をとり全身の血行状態をよくすることが必要です。

自律神経失調症で使う代表的なツボ

鬱々とした気持ちを解消する:太衝(たいしょう)、期門(きもん)、肝兪(かんゆ)、合谷(ごうこく)など。

精神をリラックスする:神門(しんもん)、大陵(だいりょう)、心兪(しんゆ)、内関(ないかん)など。

食欲をあげる:足三里(あしさんり)、中脘(ちゅうかん)、脾兪(ひゆ)など。

睡眠状態を良くする:百会(ひゃくえ)、安眠(あんみん)、肩や背中の硬結や圧痛のあるところ。

 

体質にあった最適な方法をご提案いたします

これまで紹介してきたように、自律神経失調症の原因は様々で、また、はっきりとした内臓や器官の病変によるものではなく、他の機能にも影響がでることもあり症状の現れ方が不安定です。

そのため総合的に心身のバランスを整えてあげることが快癒への近道です。

 

精神的なストレスから自律神経のバランスを崩すことは珍しいことではありません。むしろ現代社会では知らず知らずのうちにストレスを溜め込むのは当たり前と言ってもいいでしょう。さらに、ストレスの感じ方はささまざまで、本人の自覚がないままに負担を溜め込んでいるケースもよく見られます。

気になる症状が続く時や、病院へ行ってもはっきりと原因がわからない場合は、ぜひ早め早めにご相談下さい。漢方と鍼灸は、失われた自律神経のバランスを整えてくれ、長い目で見ると大いに価値のあるものです。自分自身の心と体の心地よさを取り戻すため、試してみてはいかがでしょうか。

 

こんな時こそ漢方を

■ 病院にいっても不調の原因がわからない

■ 検査をしても悪いところがみつからない

■ 病院の薬を飲んでいるけどよくならない

■ 病院にいくほどではないけれど、気になる不調が続いている

■ 生活習慣から見直して健康を取り戻したい

■ 先々までずっと健康でいたい

 

<ご相談方法> 

店舗でのご相談なら、舌や脈、血流などを確認させていただくことができ、より詳しく体質が分かります。
ご来店が難しい場合は、電話相談やZOOMを使ったオンライン相談も可能です。
予約制となっておりますのでまずは問い合わせください。ご都合に合わせて相談方法、店舗や日にち、お時間をセッティングさせていただきます。

 

大切なお身体です。どうぞ些細なことからぜひご相談ください。漢方と鍼灸でお役に立てることを願っています。

 

 

 

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