痛みの鍼灸
痛みは鍼灸の得意分野
その痛みはどんな痛みですか?
「痛み」と言っても、実にさまざまで、痛みを感じているその人自身にしかどんな痛みなのかはわかりません。
痛みの治療は、あなたがその痛みを「どんなふうに感じているか」を伝えることからはじまります。
あなたの感じている痛みを、あなたの言葉で表現してみましょう。
例えば、こんな痛み。
突き刺さるような痛み。
締め付けられるような痛み。
息のできなような苦しい痛み。
ひりひりするような痛み。
ズキンズキンと脈打つような痛み。
割れるような痛み。
さわると痛く感じる。
皮膚の表面が痛い。
疼くような痛み。
刺すような鋭い痛み。
電流がはしるような痛み。
焼けつくような痛み。
食い込むような痛み。
身体のどの部分に痛みをかんじていますか?
頭、手足、胸、背中、肩、お腹、背中、腰、ヒザ、足先 など、痛みは、身体のどこにでも発生するもので、痛みの原因は凝りからくるもの、外的要因、内的要因など様々です。
しかも、「いつの間にか自然と消える痛み」や「薬を飲んでもなかなか引かない痛み」、「原因がはっきりしている痛み」もあれば「原因不明の痛み」もあり、痛みの種類や出方には様々あります。
そんな時こそ、鍼灸や鍼の出番なのです。
筋肉を緩めて凝りの痛みを取る
鍼灸治療で新鮮な酸素を含んだ血液を呼び込むことにより、こわばった筋肉を緩めることができます。つらい痛みには、経絡の流れや内臓のバランスを中医鍼灸の考え方に基づきチェックして鍼灸治療を行っていきます。
パソコン仕事やスマホの使用による首こり・肩こり、座りっぱなしによる腰痛など、硬くなった筋肉には直接鍼灸施術を行うことでこりや痛みを素早く改善することができます。
痛みに対する鍼灸の考え方
「不通則痛、通則不痛」「不栄則痛、栄則不痛」
この二つは中医鍼灸の痛みに対する基本的な考えを表した言葉です。
「不通則痛、通則不痛」
(通ぜざればすなわち痛み、通ずれば則ち痛まず)
気血の巡りが滞るとさまざまな原因によってその部分に痛みが出ることを踏まえ、経絡上のツボを利用して気血を巡らせてあげることで痛みを取っていきます。
痛みは触られたくないような強いものが多いです。
「不栄則痛、栄則不痛」
(栄えざれば則ち痛み、栄えれば即ち痛まず)
気血がうまく届かずに組織を栄養できないと痛みが出ると考え、内臓を整え経絡を通して気血をうまく届けることで痛みを取っていきます。
痛みの場所を押すと楽だったり気持ち良いと感じることが多いです。
根本としては、気血が不足していることが多いため、補うことも必要です。ここは漢方が得意とする部分なので、併用していくことで効果を高めることができます。
実際の治療
左のこめかみにズキズキとした片頭痛が起こる場合
左のこめかみにズキズキとした片頭痛が起こる場合
このケースでは、ストレスがかかると痛みが起こりやすいとのことで、「ストレスによる左の片頭痛」と判断しました。
偏頭痛は
中医学鍼灸では「足の少陽胆経」という経絡が、こめかみの部分を通っていて、その経絡に滞りがでると痛みが生じ、偏頭痛となると考えます。
「足の少陽胆経」は自律神経の影響を受けやすい経絡のため、この経絡の流れに原因があると判断し、「足の少陽胆経」にある「足臨泣」というツボを刺激しました。施術後しばらく横になっていただき様子をみたところ、片頭痛の自覚症状は楽になったとのこと。経絡の流れの滞りがなくなり、巡りが整ったことから痛みが改善されたと考えられます。
症状は頭部にあるのに治療に使うツボは足にあります。不思議ですね。
症状は頭部にあるのに治療に使うツボは足にあります。不思議ですね。
ストレスからの解放
ストレスからの解放
ストレスは五臓(肝・心・脾・肺・腎)のうち、「肝(自律神経)」の働きを乱すと考えます。
過度のストレスにより働きを乱された「肝」は経絡の流れを滞らせて痛みをおこします。
「肝」を整えるツボの緊張を緩めて自律神経を整える鍼灸施術を行います。
それは即ち、ストレスから片頭痛が起こりにくい体質に改善されることであり、ストレスを受け止める余裕ができることです。
かかるストレス度合が同じだったとしても、はね返せたり受け流せるようになり、痛みが軽くなったり頻度が低くなっていくのです。