研修実績

2007年09月 婦人科研修

研修先:上海中医薬大学 岳陽病院 婦人科
期間:2007年9月9日~14日
参加者:小池孝枝、坂本自啓、白芳、阿喰

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2007年6月 経絡研修

研修先:上海中医薬大学付属病院 岳陽病院 経絡研究所
期間:2007年6月11日~15日
参加者:上原康嗣、関根信介

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2006年11月 糖尿病研修

研修先:北京中医薬大学付属東直門病院
期間:2006年11月1日~5日
参加者:山口昌子、阿妻由紀子、小島倫子

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2006年11月 婦人科研修

研修先:広州中医薬大学第一付属病院 婦人科
期間:2006年11月21日~25日
参加者:増田雅子

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2005年11月 婦人科研修

研修先:南京中医薬大学付属病院 婦人科
期間:2005年11月24日~29日
参加者:坂本自啓

 今回で中国への研修は約10年ぶり、2度目になる。
 10年前の私は北京中医薬大学研修では何を学ぶ、というよりは漢方に触れるという感じの漢方初心者であった。勝手も分からず、ただただ漢方というものに感心し、それが今の自分を築く礎になった事は間違いない。
しかし、自分自身が漢方相談を行うようになった今、今回の南京婦人科研修には、不妊症周期療法の第一人者である夏 桂成先生の講義と臨床を実際に見て、感じて、日本に持ち帰り、患者さんに役立て、誠心堂のスタッフに伝えるという明確な目的があった。  
 そのために自身の体調管理に細心の注意を払い、自分の体質に合わせた漢方薬を持参し、万全の体制で今回の研修に臨んだ。実は10年前の北京研修では料理が美味しくてつい食べ過ぎ、体調を崩してしまい後に引きずってしまった。  
 今度の研修では食事をセーブし、漢方を服用していたため体調は非常に良い状態を保つことができたのだった。自分も少しは成長したのである。

 今回の研修は複数の先生方により主に婦人科の講義と臨床、そして急遽、男性不育(男性不妊症)の講義が行われた。そして夜には同行の先生方とその日の研修のまとめ作業を深夜まで行った。  
 メインの講師である夏桂成先生は70歳を超えられた老中医で、ちょうど私達が来訪している時「中国医師賞」を受賞されるという、まさに中国を代表する名老中医である。
 
 実はこの時、夏先生は賞の表彰のために北京へ招かれていたのだが私達の研修があるということでそれをお断りされたという。  
 以前にこの研修に参加したスタッフが「スターウォーズのヨーダみたいな先生」と話していたのを聞いて「大先生に対してなんて失礼なことを言うヤツだ!」と思っていたのだが実際にお会いして見ると見た目や声、悟りを開いたようなところまでそっくりで妙に納得してしまった。人格的にも大変すばらしい先生だった。  

 夏先生は自ら提唱している生理周期療法の中でも特に重要といわれる“卵胞後期”(生理が終わってから排卵まで)について詳しく講義して頂いたのだが、その説明は論理的で非常に分かりやすく、丁寧に、かつ症例も交え、様々ケースについて微に細にわたって解説して頂いた。  
 生理周期療法は先生が単なる学識者としての理論ではなく、臨床家としての経験の確かな裏打ちの上に成り立っており、先生の言葉の重みがひしひしと伝わってくるのを感じることができた。  
 病棟では実際に夏先生の診察を見ることができたのだが、患者さんとのやり取りは大先生と患者さんというよりはおじいちゃんと孫みたいな感じ(不妊症などで比較的若い方が多かった)の雰囲気で、患者さんは気になることを何の気兼ねもなく先生に質問し、先生もそれを良く聴いて丁寧に答えていく。先生と患者さんの間に敷居がないのである。診療時間は1人約10分前後で相談時間としては決して長くはないのだが、患者さんとのコミュニケーションがしっかりとれていて、言葉は分からないのだが患者さんの表情から先生を信頼しているのが良く伝わってくる。患者さんとの信頼関係を築くのに必ずしも時間を掛ければ良いというものではないことを痛感した。  
 今回の研修の場となった南京中医薬大学附属病院は北京、上海に並ぶ中国トップレベルの医療機関で、ここでは中医学と西洋医学を同時に受けることが出来る、いわゆる「中西医結合」の場でもある。  
 例えば体調、病状を判断するのに西洋医学的な診断と中医学的な診断とを総合して考える。患者さんは西洋医、中医、どちらの治療も受けることができ、自分で選べることができるのである。常々日本でも西洋医学、中医学が手を結び双方の観点から患者さんを診ることが出来たらどれだけの人が助かるかと考えていたのだがそこではそれが現実のものとして行われていた。  
 病院の建物は改築したばかりのため、受付や投薬カウンターはとても広く、一度に多くの患者さんに対応できるようになっていて、非常にきれいで明るく清潔感があった。日本の病院と違うのは、漢方薬の調剤設備が整っていて、大量の生薬と日本では見ることのできない様々な漢方のエキス剤があるところだ。実際に漢方薬の調剤室に入ることを許可して頂き中を見学したのだが本当に興味深い処方がたくさんあり同行の先生方も興味津々、実際に購入されている先生もいた。  
 また病院の外の敷地内には漢方煎じ薬を煮出してパック詰めにする所があり、1日分2元(約30円)で作ってくれるそうだ。その周囲は煎じ薬の匂いが立ち込めていて、たくさんの人が順番待ちをしていた。  
 いつか日本でもこのような光景が見られるようになれたら…。 そのためにも自分達が中医学の良さを日本の人達に伝えていかなければいけないの だということを改めて感じた。  
 この6日間の研修は本当にあっという間で、久々に朝から夜中までみっちりと勉強漬けになったが、ご教授いただいた中医師の先生方、一緒に参加した日本の先生方との交流を通して、知識だけではなく様々な思いや夢を感じることができ、たくさんのエネルギーをもらうことができた。 そしてその成果を誠心堂のスタッフとお客様に還元していきたいと思う。

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