生理痛

生理痛

生理痛とは?

生理痛

生理の直前から生理中にかけて子宮が収縮するために起きる、下腹部や腰の痛みのことをいいます。痛みの程度は個人差があり、痛みがほとんどない方もいれば、強く感じる方、生理痛以外にも頭痛や吐き気などが現れる方など症状は様々です。ごく軽い痛みを感じる程度なら問題はありませんが、仕事や家事を休まなければならないほどの痛みを感じる場合は注意が必要です。

原因と治療

生理が起きる少し前から、子宮内膜にプロスタグランジンという物質が分泌されます。これが子宮の収縮を促すことで、はがれ落ちた子宮内膜を体外に押し出してくれるのですが、子宮の収縮が強すぎると、下腹部が痛んだり、腰がだるくなるなど生理痛の症状が現れます。生理のときに痛みの違いが出るのは、その方自身が持つプロスタグランジンの量の多さと、痛みの感じやすさなど人により体質が異なるためです。日頃のストレスや食事、睡眠などの生活習慣、その日の体調や気候などでも痛みの感じ方が変わります。また、生理痛のなかでも日常生活に支障をきたすほどのものを“月経困難症”と呼んでいます。

機能性月経困難症(婦人科の検査で器質的な異常が認められない場合)
痛みは初潮からまもなく始まり、痙攣性の収縮によって子宮が痛みます。ホルモン分泌との関係性が考えられ、10~20代の未婚女性が訴える生理痛の約9割を占めます。治療には、プロスタグランジンの分泌を抑える鎮痛剤が使われます。他にも、低用量ピルや漢方薬などが処方されることが多いです。

器質性月経困難症(婦人科の検査で器質的な異常が認められる場合)
子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、子宮の位置、子宮頚部の癒着などが原因とされる痛みです。30~40代になってから発症した生理痛で、鎮痛剤を飲まないと耐えられないときには病気である可能性が高いでしょう。治療法はそれぞれの病気や程度により異なりますが、薬物療法としては主に鎮痛剤やホルモン療法が、手術療法としては開腹手術や腹腔鏡手術などがあります。

生理痛

中医学で考える生理痛

生理痛

中医学において、痛みが起きる原因は2つあります。一つは、“不通則痛(ふつうそくつう)”と呼び、気血津液(きけつしんえき)など身体に必要な物質の巡りが悪いために起きる痛みであり、もう一つは、“不栄則痛(ふえいそくつう)”と呼び、子宮における栄養状態が悪いために起きる痛みです。それぞれ冷え、ストレス、食生活の不摂生、過労、加齢、慢性病などにより生じ、中医学ではその原因を解決することで、生理痛はもちろんのこと痛みが起きやすい体質を改善していきます。

 

 

中医学タイプ別治療法

① 気滞血瘀(きたいけつお)タイプ
ストレスなどの精神刺激により、気の巡りが停滞して血行不良となる。
生理の主な症状:痛みは生理前~生理前半に多い、生理前の胸の張りや痛み、イライラなどPMSの症状が強い、生理にツブツブした塊があるなど。
随伴症状:肩こり、頭痛、イライラ、憂うつ感、喉のつまり、便秘など。
身体の中の気は血を押し流す働きをしており、ストレスなどにより気の流れがスムーズでなくなると、血までも滞るようになります。

 

漢方

血府逐瘀湯、加味逍遙散など

ツボ

太衝、内関など

食材

ミント、ジャスミン、春菊、三つ葉、みかんの皮、イカなど

 

 

② 湿熱阻滞(しつねつそたい)タイプ
体内に余分な水分と熱が一緒に滞ることでドロドロ血となり、血の流れが停滞しやすくなる。
生理の主な症状:痛みは生理前~生理前半に多い、下腹部や陰部に灼熱感を感じる、生理の量は多い、生理の質は粘っこいなど。
随伴症状:おりものは日頃から黄色っぽく粘りがあり臭いがある、陰部の痒み、乳房や脇の脹った痛み、のぼせ、口の渇き、口臭、多汗、尿が黄色など。
元々暑がりの体質だったり、脂っこいものや味の濃いものを食べすぎたり、アルコールの飲みすぎなどにより老廃物が生まれ、気血の巡りが停滞するようになります。

 

漢方

温胆湯、竜胆瀉肝湯など

ツボ

陰陵泉、曲池など

食材

ハトムギ、とうもろこし、冬瓜、緑豆、きゅうり、クチナシの実など

 

 

③ 寒湿血瘀(かんぎょうけつお)タイプ
冷えにより血の巡りが滞り、痛みが起きやすくなる。
生理の主な症状:痛みは生理前~生理前半に多い、痛みが強い、温めると一時的に軽減する、生理の色は暗く塊が多い、生理周期が長めなど。
随伴症状:おりものは白く透明で多い、筋肉のひきつり、寒がり、手足の冷え、むくみなど。
真夏のクーラーや冷たい風などに当たったり、冷たいものや生ものの食べすぎなど身体を冷やすことにより生じます。冷えは流れを滞らせる収斂作用があり、血の流れを停滞させてしまいます。

 

漢方

温経湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯など ※お灸を多用

ツボ

関元、命門など ※お灸を多用

食材

ネギ、生姜、シナモン、紫蘇、玉ねぎ、ニンニク、山椒、ニラ、酢など

 

 

④ 気血両虚(きけつりょうきょ)タイプ
身体のエネルギーとなる気や体内に栄養を与える血(けつ)が不足して血流が滞る。
生理の主な症状:生理痛は生理後半に多い、揉むと一時的に軽減する、生理の色は薄いなど。
随伴症状:倦怠感、食欲不振、不眠、顔色が白い、めまい、眼精疲労、動悸、脱毛など。
過労や胃腸虚弱、栄養失調などにより生理の基本となる気や血が不足すると、血管内を巡る物質がなくなるため滞りが生まれやすくなります。

 

漢方

十全大補湯、芎帰調血飲など

ツボ

足三里、三陰交など

食材

豆腐などの大豆製品、卵、いんげん豆、山芋、人参、ほうれん草など

 

 

⑤ 肝腎陰虚(かんじんいんきょ)タイプ
女性ホルモンの働きが低下して子宮に栄養が行き届かず、血の流れが滞る。
生理の主な症状:生理痛は生理後半に多い、揉むと一時的に軽減する、生理の色は暗く量は少ない、生理周期は不安定になりやすいなど。
随伴症状:足腰がだるい、倦怠感、目の疲れ、筋肉のつり、便秘、ほてり、イライラなど。
虚弱体質、過労、加齢などにより身体に必要な気血や人体のエネルギー源である精(せい)を消耗しているため、心身を栄養することができず、血の流れが停滞して血行不良を招きます。

 

漢方

杞菊地黄丸、二至丸合六味丸など

ツボ

太谿、三陰交など

食材

黒豆、黒きくらげ、アスパラガス、山芋、卵、人参、ほうれん草など

 

 

鍼灸治療

鍼灸治療では、生理痛の原因を追究して鍼やお灸を行うことで、生理痛はもちろんのこと、痛みが起きやすい体質を改善していきます。

生理痛で使う代表的なツボ
帰来(きらい)、血海(けっかい)、三陰交(さんいんこう)、次髎(じりょう)、腎兪(じんゆ)など。

暮らしのアドバイス

・洋服や下着はゆったりしたものを着て締め付けないようにしましょう
・デスクワークでは毛布やひざ掛け、腹巻などで腰周りを温めましょう
・ウォーキングや軽いジョギングをしましょう
・温かい飲食や毎日の入浴を心がけましょう
・ストレスをうまく発散しましょう
・喫煙を控えましょう