体質で考える「男性更年期障害(加齢男性性腺機能低下症、LOH症候群)」

体質で考える「男性更年期障害(加齢男性性腺機能低下症、LOH症候群)」

体質で考える「男性更年期障害(加齢男性性腺機能低下症、LOH症候群)」

更新日:2023.11.16

 

 

 

 

男性更年期障害(加齢男性性腺機能低下症、LOH症候群)とは?

男性更年期障害(加齢男性性腺機能低下症、LOH症候群)とは、男性ホルモン(テストステロン)が減少することで起こる様々な不調のことで、40歳前後から60代の男性に多くみられます。

男性更年期障害は、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の減少に加え、何らかの原因で男性ホルモン(テストステロン)が急激に減少することにより発症します。その原因の代表的なものが、過度なストレスや急激な環境の変化です。

40歳前後から60代は、社会的にも第一線で活躍し重圧が大きい世代、その上家庭や親の介護など様々なストレスがかかりやすい時期であるため、男性更年期障害の症状に悩む方が多くなると考えられます。

 

更年期障害は女性特有の病気と思われがちで、働き盛りの男性にも起こる病気であることが十分に認知されていません。

厚生労働省による「更年期症状・障害に関する意識調査」(2022年7月26日)によると、男性更年期について、女性では年代が上がるほど「よく知っている」の割合が高くなり約4割を占めるのに対し、男性では「よく知っている」が約15%で、「聞いたことがあるが、内容について詳しく知らない」の割合が約50%を占めています。さらに男性で更年期症状を自覚しているにも関わらず病院を受診していない方の割合が40代で86.6%、50代で86.5%、60代で92.8%にものぼり、受診に抵抗を感じている方が多いことを示しています。

 

 

症状

身体症状

全身倦怠感、のぼせ、ほてり、動悸、発汗、めまい、頭痛、関節痛、筋肉痛、耳鳴り、睡眠障害、頻尿、筋肉量低下、体毛が薄くなる、物忘れ

精神症状

気力の低下、集中力の低下、不安感、イライラ、抑うつ感、焦燥感

性機能症状

性欲低下、勃起力低下、早朝勃起(朝立ち)の回数減少

 

など症状は様々です。ストレスがあり精神症状が出ていると、うつなどの精神疾患と勘違いされてしまうことがあります。また、年のせいかなと思いこみ、放置して重症化するケースも珍しくありません。

 

 

西洋医学的治療方法

血中の男性ホルモン(テストステロン)の値を調べます。

男性ホルモン値が低い場合には、テストステロンの注射を2週間から4週間おきに症状が改善するまで行います。

その他には、症状により抗うつ薬やED治療薬の使用、カウンセリング、運動や食事などの生活習慣指導などが行われます。

 

漢方で考える男性更年期障害の治療方法

中医学では女性は7の倍数、男性は8の倍数を節目として身体に変化が訪れると考えます。

その加齢による身体の変化は、五臓六腑のうちの「腎」と深い関わりがあり、「腎」は成長・発育・老化を司り、ホルモン分泌に影響を与えています。

女性は42歳、男性は48歳頃から「腎」の衰えの影響が大きくなり、更年期症状が出やすくなると言えます。

 

中医学には「肝腎同源かんじんどうげん(肝と腎の源は同じ)」という言葉があり、生命エネルギーの根源である精を貯蔵する「腎」と全身を栄養し精神活動を支える血を貯蔵する「肝」は常に協力し、必要に応じて精を血に、血を精に変化させています。

ところが、過度なストレスや急激な環境の変化があると、自律神経を司る「肝」の働きが失調し、協力関係にある「腎」に影響を与えてしまうのです。この「肝」の働きの失調もまた更年期症状の原因となります。

 

①精の不足体質
<<腎精不足じんせいふそく>>

 

身体の状態:生まれつきの虚弱体質、飲食の偏りや栄養不足、過労、慢性病、老化、性生活の過多、自慰行為の過多などによって、腎に貯蔵されている生命エネルギーの根源である精が不足している状態です。

治療方法:不足している腎の精を補う「補腎填精ほじんてんせい」の治療を行います。

 

漢方

六味地黄丸、八味地黄丸、亀鹿二仙丸、鹿茸、海馬、紫河車など

ツボ

太谿、腎兪、関元など

 

 

血と津液の不足体質
<<肝陰虚かんいんきょ>>

 

身体の状態:生まれつきの虚弱体質、老化、長期間の精神的緊張・ストレス・プレッシャー、睡眠不足、目の酷使、出血性の病などによって、肝に貯蔵されている全身を栄養し精神活動を支える血が不足し、さらにそれが長期間続くことで肝陰(潤い)が不足している状態です。

治療方法:不足している肝の血と陰を補う、「滋補肝血じほかんけつ滋補肝腎じほかんじん」の治療を行います。

 

漢方

杞菊地黄丸、知柏地黄丸、四物湯、枸杞子、山茱萸など

ツボ

血海、三陰交など

 

 

気の滞り体質
<<肝鬱気滞かんうつきたい>>

 

身体の状態:精神的緊張・ストレス・プレッシャー、急激な環境の変化、食べすぎ、飲みすぎなどにより、肝の機能が失調し、エネルギーである気の巡りが滞っている状態です。

治療方法:気の巡りをコントロールしている肝の働きを正常にし、全身の気の巡りを改善する「疏肝解鬱そかんかいうつ」の治療を行います。

 

漢方

逍遥散、柴胡疏肝散、川玉金、川芎、枳実など

ツボ

太谿、内関など



 

生活養生

テストステロンを増加させるためには生活習慣を改善することが重要です。今日から以下のことに取り組みましょう。

・睡眠時間は7時間を目安に早寝早起きを心掛けましょう

・ジョギング、サイクリング、水泳、登山など定期的に有酸素運動を取り入れましょう

・入浴、映画鑑賞、読書、旅行、レジャーなど、自分に適した方法でストレスを発散しましょう

・囲碁や将棋などのゲーム、テニスやゴルフ、チームスポーツなど、精神的負荷のない範囲で適度に競争できる環境を作りましょう

・過度な飲酒は控えましょう。ビール500ml、酎ハイ350ml、ワイン200ml、日本酒1合、焼酎100ml、ウイスキー60mlが適量です

・喫煙をされている方は禁煙をしましょう

 

 

男性更年期障害でお悩みの方へ

漢方薬の服用や鍼灸の治療では、自分の体質をきちんと確認しましょう。同じ男性更年期障害のお悩みの方でもタイプが異なれば、適した治療方法や治療方針が異なります。自分に合った漢方薬や鍼灸治療を選択するために、まずは専門家にしっかり相談しましょう。

実際の漢方相談、鍼灸治療では、チェックにあるような自覚症状だけではなく、舌や脈といった客観的な情報なども考慮して、総合的に体質を確認していきます。体質や治療方針について納得してから治療を始められます。一人で悩まずに、ぜひご相談下さい。

 

日本全国よりご相談を頂いております。
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井上桜

監修 井上桜

薬剤師

国際中医師認定A級(現国際中医専門員)

北里大学薬学部製薬学科卒

上原康嗣

監修 上原 康嗣

鍼灸師・誠心堂式三焦調整法認定鍼灸師


琉球大学医学部保健学科卒業

早稲田医療福祉専門学校鍼灸科卒業

早稲田医療専門学校鍼灸科卒業後は整形外科に勤務を経て2005年誠心堂薬局入社

西葛西院長、新浦安店、妙典店院長、行徳接骨院院長を経て、現在は船橋店で院長を務める