子宮内膜症・子宮筋腫

子宮内膜症・子宮筋腫

子宮内膜症・子宮筋腫とは?

子宮内膜症・子宮筋腫

子宮内膜症は、子宮内膜と類似した組織が子宮の内膜以外にできてしまう病気です。主に卵巣(チョコレート嚢胞)、ダグラス窩、腹腔などに生じやすく、他にも子宮筋層内にできることがあります。子宮筋腫とは、子宮にできる良性腫瘍のことで、子宮の壁に“こぶ”のようなものができている状態をいいます。

 

妊娠を希望する女性では、子宮内膜症と子宮筋腫はともに不妊となる可能性があります。子宮内膜症の癒着のために、卵巣と卵管の動きが低下するのは明らかですが、子宮内膜症の病変が様々なサイトカイン(人体における生理的化学物質)を分泌し、卵子や精子、受精卵へ影響して不妊症の発生に関係している可能性も指摘されています。筋腫が子宮の内側にできると、小さい筋腫でも不妊や流産などの原因にもなることから早めに対処することが大切です。

 

種類と治療

腹膜子宮内膜症(腹膜病変)
腹膜や臓器の表面に発生する最も基本的な子宮内膜症で、超音波検査やMRIなどの画像診断が困難です。

卵巣チョコレート嚢胞(卵巣嚢腫)
卵巣の中に発生する子宮内膜症で、生理のサイクルとともに血液がたまっていくものです。血液の塊がチョコレートのように見えるため、チョコレート嚢胞といわれています。本来うずら卵くらいの大きさの卵巣が5~6センチまで大きくなることがあり、他の場所にできる子宮内膜症より痛みが強いといわれています。現在最も多く治療されている子宮内膜症です。

子宮腺筋症
子宮の筋層内にでき、進行すると筋層が厚くなり子宮がだんだん大きくなります。子宮が変形するため、不妊や流産の原因になることもあります。強い生理痛や生理量が多くなる場合があり、結果として貧血になっていることがあります。

治療では、年齢や症状、妊娠の希望などに応じて治療方法を選択していきます。痛みに対しては鎮痛剤、低用量ピルや女性ホルモンの分泌を抑えるホルモン療法も行われることがあります。 卵巣チョコレート嚢胞は5センチ以上になると手術が必要になることがあり、卵巣を残す保存療法では、腹腔鏡などで病巣だけを切除したり焼きます。このような方法では再発の可能性があるため、術後も薬物療法が必要なケースが多いです。完全に治す方法としては、卵巣を摘出することで閉経状態にします。再発の可能性はありませんが、女性ホルモンが極端に減るため、更年期症状や脂質異常症(高脂血症)、骨粗しょう症などのケアが必要になります。

 

種類と治療

子宮の内側にできる“粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)”、子宮の外側にできる“漿膜化筋腫(しょうまくかきんしゅ)”、子宮の筋肉にできる“筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)”などがあり、筋腫が大きくなるにつれて、生理量の増加、生理周期の乱れ、生理痛、不正出血、貧血などの症状や、周囲臓器を圧迫することで頻尿、排便痛、便秘、腰痛などの症状も出てきます。

無症状の場合、こぶし大以下の大きさであれば経過観察になります。しかし、サイズの大きいもの、日常生活に支障をきたす症状を伴うものは治療が必要です。手術には筋腫の部分だけを摘出する筋腫核出術、子宮を全て摘出する子宮全摘術、子宮の入り口から子宮鏡を挿入し、子宮鏡の先端にある電気メスで患部を切除する子宮鏡下手術などがあります。

薬物療法では女性ホルモンの産生を抑える薬を使用して生理を止め、無月経の状態にして筋腫を小さくさせます。そこから手術で摘出するか、閉経が近い女性はそのまま筋腫を小さくし、閉経を待って症状が出ないようにしていきます。女性ホルモンの量が減ることで内膜症の進行が抑えられますが、閉経と似た状態になるため、更年期と同じような症状が出ることがあります。

中医学で考える子宮内膜症・子宮筋腫

人体には“気”、“血(けつ)”、“津液(しんえき)”という、身体を栄養してくれる基本物質が流れており、その流れが何らかの理由で悪くなると不調を感じていきます。流れが悪くなった状態をそれぞれ“気滞(きたい)”、“瘀血(おけつ)”、“痰湿(たんしつ)”と呼び、骨盤内の血流不良を引き起こします。イメージするなら、ため池のヘドロのような状態です。そのため、停滞した血の巡りをよくすることを基本治療とします。

 

中医学タイプ別治療法

① 肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ
ストレスなどの精神刺激で、気の流れが滞り血行不良になる。
生理の主な症状:痛みは生理前~生理前半に多い、張るような痛みがある、イライラなどPMSの症状が強い、生理にツブツブした塊があるなど。
随伴症状:乳房の張りや痛み、肩こり、頭痛、イライラ、憂うつ感、喉のつまりなど。
ストレスを受けると、自律神経の乱れによって気の巡りをスムーズにコントロールできず停滞するため、結果として血行不良が生じやすくなります。

漢方

血府逐瘀湯、加味逍遙散など

ツボ

太衝、内関など

食材

ミント、ジャスミン、春菊、三つ葉、みかんの皮、イカなど

 

 

② 湿熱阻滞(しつねつそたい)タイプ
体内に余分な水分と熱が一緒に滞ることでドロドロ血となり、血の流れが停滞しやすくなる。
生理の主な症状:痛みは生理前~生理前半に多い、下腹部や陰部に灼熱感を感じる、生理の量は多い、生理の質は粘っこいなど。
随伴症状:おりものは日頃から黄色っぽく粘りがあり臭いがある、陰部の痒み、乳房や脇の脹った痛み、のぼせ、口の渇き、口臭、多汗、尿が黄色など。
元々暑がりの体質だったり、脂っこいものや味の濃いものを食べすぎたり、アルコールの飲みすぎなどにより身体に余分な熱がこもり血行不良となります。

 

漢方

温胆湯、竜胆瀉肝湯など

ツボ

曲池、陰陵泉など

食材

ハトムギ、とうもろこし、冬瓜、緑豆、きゅうり、クチナシの実など

 

 

③ 寒湿血瘀(かんぎょうけつお)タイプ
冷えにより血の巡りが滞り、痛みが起きやすくなる。
生理の主な症状:痛みは生理前~生理前半に多い、痛みが強い、温めると一時的に軽減する、生理の色は暗く塊が多い、生理周期が長めなど。
随伴症状:おりものは白く透明で多い、筋肉のひきつり、寒がり、手足の冷え、むくみなど。
真夏のクーラーや冷たい風などに当たったり、冷たいものや生ものの食べすぎなど体を冷やすことにより生じます。冷えは流れを滞らせる収斂作用があり、血の流れを停滞させてしまいます。

 

漢方

温経湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯など

ツボ

関元、命門など ※お灸を多用

食材

ネギ、生姜、シナモン、紅花、黒糖、玉ねぎなど

 

 

④ 気血両虚(きけつりょうきょ)タイプ
慢性疲労や貧血などにより、身体の気や血が不足して血行不良になる。
生理の主な症状:生理痛は生理後半に多い、揉むと一時的に軽減する、生理の色は薄いなど。
随伴症状:倦怠感、食欲不振、不眠、顔色が白い、めまい、眼精疲労、動悸、脱毛など。
過労や胃腸虚弱、栄養失調などにより身体に必要な栄養物質である気や血が消耗すると、血を押し流す力が弱くなり血流が滞りがちになります。

 

漢方

十全大補湯、芎帰調血飲など

ツボ

足三里、気海など

食材

豆腐などの大豆製品、卵、いんげん豆、山芋、人参、ほうれん草など

 

 

⑤ 肝腎不足(かんじんぶそく)タイプ
虚弱体質や加齢などにより、女性ホルモンの働きが低下して卵巣や子宮に栄養が行き届かず、血の流れが滞る。
生理の主な症状:生理痛は生理後半に多い、揉むと一時的に軽減する、生理の色は暗く量は少ない、生理周期は不安定になりやすいなど。
随伴症状:足腰のだるさ、倦怠感、目の疲れ、筋肉のつり、夜間尿、耳鳴り、めまいなど。
中医学でいう腎(じん)は精(せい)を貯蔵し、肝は血(けつ)を貯蔵します。この精と血はお互いに栄養し合い、必要に応じて精は血に、血は精に変化します。虚弱体質、過労、加齢などにより肝腎の働きが落ちると、血の流れが停滞して血行不良を招きます。

 

漢方

杞菊地黄丸、二至丸合六味丸など

ツボ

腎兪、肝兪など

食材

黒豆、黒きくらげ、ひじき、海苔、卵、松の実、クコの実、くるみ、栗など

 

 

鍼灸治療

鍼灸治療では、血行循環が悪くなったことにより生じる“瘀血”を取り除きます。下腹部や腰周りに直接鍼やお灸で刺激したり、ツボを介して血流をよくすることで腹腔動脈の血流を促進して、傷ついた組織を修復していきます。また、血流をよくする“活血法(かっけつほう)”が必要なときもあるので、低周波治療器(電気パルス)や吸玉施術(カッピング)を併用することがあります。生理前後や生理中に不調がある場合は、特に血の巡りが滞りがちであるため、積極的な鍼灸治療がおすすめです。

子宮内膜症・子宮筋腫で使う代表的なツボ
関元(かんげん)、三陰交(さんいんこう)、次髎(じりょう)、腎兪(じんゆ)など。

暮らしのアドバイス

・ストレスはこまめに発散してイライラしない工夫をしましょう
・温かい飲食や服装を心がけ身体を冷やさないようにしましょう
・生理中の激しい運動は避けましょう
・湯船に入り下半身の血行をよくしましょう
・喫煙は控えましょう