体質で考える「乾燥肌」

体質で考える「乾燥肌」

体質で考える「乾燥肌」

更新日:2023.11.22

 

 

 

乾燥肌とは?

乾燥肌とは、皮膚細胞に含まれる水分量と油分量がともに不足しており、栄養失調状態になっているものをいいます。ドライスキンとも呼ばれ、洗顔後に顔がつっぱる、全身がカサカサする、白っぽく粉がふくなどの症状があり、ひどくなると痒みを生じることがあります。

 
体質で考える「乾燥肌」

乾燥肌の原因と治療

体質で考える「乾燥肌」

皮膚は、表皮・真皮・皮下組織の3層に分かれており、表皮の一番上にある角質層が水分を保持して体内の水分量を維持したり、外的刺激から皮膚を守るバリア機能という役割を担っています。この角質層の働きが低下すると、皮膚の水分が蒸発して乾燥しやすくなります。乾燥が長期間続くと、敏感になり外的刺激に弱くなります。


乾燥
外気によるものや、お手入れの不足で生じます。また、皮膚を強く擦ったり、熱いお湯で洗うなど、物理的刺激によっても乾燥が進みます。

紫外線
紫外線を浴びすぎると、角質層にダメージを与えるため皮膚が乾燥します。

新陳代謝の低下
ダイエットや偏食、加齢や不規則な生活、睡眠不足などにより、皮膚のターンオーバーが乱れ、乾燥肌になります。

乾燥肌の治療では、ワセリンや尿素などの保湿剤を塗って皮膚の乾燥を防ぎます。また、ビタミン剤などの内服が行われることもあります。

 
体質で考える「乾燥肌」

漢方で考える乾燥肌

体質で考える「乾燥肌」

中医学において、乾燥肌は“気・血(けつ)・津液(しんえき)”という身体に必要な基本物質の不足によって引き起こされます。気とは、エネルギーのことで、皮膚のバリア機能と深い関わりがあります。血は、いわゆる血液のようなもので、皮膚や粘膜に栄養を与える働きがあります。津液は、血以外の体液のことで透明であり、全身を瑞々しく潤します。中医学では、“皮膚は内臓の鏡”といわれるため、内臓を健康にすることが美肌に繋がるのです。

 


中医学体質別治療法

① 気虚(ききょ)体質
エネルギーが不足しており、皮膚に必要な栄養を届けることができない。
随伴症状:倦怠感、食欲不振、疲れやすい、めまい、風邪を引きやすいなど。
気が不足すると皮膚の新陳代謝が低下したり、防御作用が低下するため、紫外線などの影響を受けやすくなります。

 

漢方

補中益気湯、玉屏風散など

ツボ

足三里、気海など

食材

豆腐や湯葉などの大豆製品、卵、いんげん豆、山芋など

 

 

② 血虚(けっきょ)体質
身体に必要な血(けつ)が不足しており、皮膚の栄養が足りない。
随伴症状:顔色が蒼白、めまい、立ちくらみ、不眠、眼精疲労、動悸、脱毛など。
過労や胃腸虚弱、栄養失調などにより血が不足すると、血管内を巡る物質がなくなるため皮膚の栄養状態が悪くなります。

 

漢方

当帰芍薬散、四物湯など

ツボ

足三里、三陰交など

食材

人参、ほうれん草、なつめ、黒ごま、クコの実、プルーンなど

 

 

③ 津液不足(しんえきぶそく)体質
身体に必要な津液(体液)が不足している。
随伴症状:鼻や喉の乾燥、声がれ、空咳、口の渇き、髪のパサつき、便秘など。
過労や胃腸虚弱、栄養失調などにより体液が不足すると、細胞を潤すことができず、乾燥が強くなります。

 

漢方

生脈散、麦門冬湯など

ツボ

湧泉、太谿など

食材

豚肉、ゆり根、豆腐、牛乳、白きくらげ、蜂蜜など

 

 

 

乾燥肌の鍼灸治療

顔面部や身体に鍼やお灸を行う美容鍼灸をすることで新陳代謝が高まり、血行が良くなることで、血色のよいツヤのある素肌になっていきます。筋肉や神経、経穴を刺激することで身体全体のバランスを調整し、皮膚本来の回復機能を呼び起こします。

乾燥肌で使う代表的なツボ
太谿(たいけい)、復溜(ふくりゅう)、照海(しょうかい)、三陰交(さんいんこう)など。

 

暮らしのアドバイス

・バランスのとれた食事をとりましょう
・寝不足にならないように気をつけましょう
・正しいスキンケアで皮膚の潤いを保ちましょう
・禁煙しましょう
・紫外線対策をしましょう

 

大谷孝枝

監修 大谷孝枝

薬剤師・鍼灸師・国際中医専門員・中医薬膳師

中国漢方普及協会 学術委員

株式会社 誠心堂薬局 営業部課長


北里大学薬学部薬科卒

東京医療福祉専門学校鍼灸科卒