体質で考える「くすみ」

体質で考える「くすみ」

体質で考える「くすみ」

更新日:2023.11.22

 

 

 

くすみとは?

なんとなく顔色が悪く、不健康に見えてしまいがちな“くすみ”。くすみとは、顔色が本来の色よりも暗く見え、皮膚の明るさや透明感が失われている状態をいいます。

 

くすみの原因と治療

乾燥
外気によるものや、お手入れの不足による乾燥で、皮膚表面のキメが乱れることで生じます。

紫外線
紫外線を浴びた量が多いほど、メラニンが作られ皮膚の色がくすみます。通常はターンオーバーによって古い角質とともにメラニンは剥がれ落ちますが、不適切なお手入れや加齢が原因でターンオーバーが低下すると、メラニンはそのまま留まって茶色っぽいくすみとなり定着します。

新陳代謝の低下
加齢や不規則な生活、睡眠不足などにより、ターンオーバーが遅くなるため、古い角質が蓄積されていきます。

糖化
黄ばんで見えるもので、体内のたんぱく質の糖化が原因です。 糖化とは、体内で蓄積された糖がたんぱく質と結びつくことによって、AGEs(糖化最終生成物)という物質を作ることをいいます。

くすみの治療には、セラミドやヒアルロン酸など保湿力の高い保湿剤や美白化粧品を使用したり、ビタミン剤などの内服が行われます。美容外科ではピーリングやレーザー治療などが行われることもあります。

 
体質で考える「くすみ」

漢方で考えるくすみ

体質で考える「くすみ」

くすみの原因は、血の滞り、いわゆる“瘀血(おけつ)”によります。血液の流れが悪いために皮膚細胞のメラニンを排泄する力が低下したり、瘀血の状態が続くことで新鮮な血液が十分届かないため、肌ツヤや潤いも減り、くすみ肌になってしまうのです。

瘀血になる原因の1つ目は血流をコントロールする“肝”の弱りによる血行障害、2つ目は老化やホルモン分泌を司る“腎”の衰え、3つ目は身体の新陳代謝にかかわる“脾(ひ)”の機能低下です。

 


中医学体質別治療法

① 肝腎陰虚(かんじんいんきょ)体質
身体に必要な陰血(体液や血)が不足して血行が悪くなっている。
随伴症状:足腰のだるさ、耳鳴り、めまい、眼精疲労、のぼせ、ほてり、イライラなど。
中医学において、腎は生命エネルギーである“精(せい)”を貯蔵しており、肝という臓腑は血(けつ)を貯蔵しています。ストレスや加齢により肝と腎が弱ると、身体の栄養状態が悪くなるため血行不良が生じ、皮膚の新陳代謝が低下します。

 

漢方

杞菊地黄丸、二至丸合六味丸など

ツボ

太谿、三陰交など

食材

黒ごま、黒きくらげ、アスパラガス、山芋、卵、人参、ほうれん草など

 

 

② 気滞血瘀(きたいけつお)体質
ストレスにより気の巡りが停滞して血行不良となる。
随伴症状:肩こり、頭痛、イライラ、憂うつ感、喉のつまり、便秘など。
気は血(けつ)を押し流す働きをしており、ストレスなどにより気の流れがスムーズでなくなると、血までも滞るようになります。

 

漢方

血府逐瘀湯、加味逍遙散など

ツボ

太衝、三陰交など

食材

ミント、ジャスミン、春菊、三つ葉、みかんの皮、バラの花、玉ねぎなど

 

 

③ 脾虚痰湿(ひきょたんしつ)体質
身体中に気血を巡らせるエネルギーが不足しているため老廃物がたまりやすく、血行が悪くなっている。
随伴症状:疲労感、顔色が悪い、めまい、食欲不振、軟便、お腹の張り、冷えなど。
胃腸虚弱や疲労により、身体の気(エネルギー)が作られなかったり、消耗しやすくなります。気には、血(けつ)や体液を全身に巡らせる働きがあるため、気が不足するとその力が足りず、流れが滞りやすくなります。

 

漢方

六君子湯、平胃散など

ツボ

足三里、陰陵泉など

食材

豆腐や湯葉などの大豆製品、卵、いんげん豆、山芋、もやしなど

 

 

 

くすみの鍼灸治療

顔面部や身体に鍼やお灸を行う美容鍼灸をすることで血行がよくなり、血色のよいツヤのある素肌になっていきます。筋肉や神経を刺激することで身体全体のバランスを調整し、皮膚本来の回復機能を呼び起こします。

くすみで使う代表的なツボ
百会(ひゃくえ)、翳風(えいふう)、四白(しはく)、巨髎(こりょう)、下関(げかん)など。

 

暮らしのアドバイス

・ストレッチやマッサージ
・適度な運動をして血行をよくしましょう
・ストレスはその日のうちに発散しましょう
・便秘が気になる人は排便習慣を身に付けましょう
・寝不足にならないように気をつけましょう
・炭水化物や甘いもののとりすぎに気をつけましょう

 

大谷孝枝

監修 大谷孝枝

薬剤師・鍼灸師・国際中医専門員・中医薬膳師

中国漢方普及協会 学術委員

株式会社 誠心堂薬局 営業部課長


北里大学薬学部薬科卒

東京医療福祉専門学校鍼灸科卒