体質で考える「チョコレート嚢胞」

体質で考える「チョコレート嚢胞」

体質で考える「チョコレート嚢胞」

更新日:2023.11.16

 

 

 

チョコレート嚢胞(チョコレート嚢腫)とは?

チョコレート嚢胞のうほうは子宮内膜症の一種で、子宮内膜とよく似た組織が卵巣に生じた疾患です。

子宮内膜とは本来は受精卵が着床するための組織で、赤ちゃんが育つためのベッドにあたります。毎月排卵に備えて厚く増殖し、妊娠しないと不要になり、剥がれ落ちて月経血として排出されます。卵巣に生じた子宮内膜組織は月経の度に増殖・剥離を繰り返し、月経血の様に外に排出されないために、少しずつ卵巣に貯留していきます。貯留した子宮内膜組織や血液はだんだんと古くなり茶色っぽくなるため、チョコレート嚢胞と呼ばれます。

 

症状

チョコレート嚢胞の代表的な症状は、月経を重ねるごとに強くなる月経痛、骨盤痛、性交痛、排便痛などです。日常生活に影響するほどの激しい痛みを引き起こし、QOL(生活の質)の低下につながることもあります。高齢になると、悪性となり卵巣ガンになるリスクが高まります。

思い当たるような自覚症状がある際、まずは婦人科を受診しましょう。エコー(超音波検査)や血液検査、場合によってはMRIを行います。西洋医学の治療方法としては、ホルモン剤などの薬物療法と手術療法があります。治療方法については、年齢や妊娠希望の有無などを考慮しますので、専門医によく相談しましょう。

 

不妊症との関係

卵巣に慢性的な炎症が起こり、正常な卵巣組織にも悪影響があることが知られています。

そのため卵巣機能の低下がみられ、排卵障害、卵子の質の低下を引き起こすことがあります。

また、慢性的な炎症が卵巣・卵管・卵管采の癒着を引き起こし不妊の原因となります。

 

 

チョコレート嚢胞の原因

原因はまだはっきりと分かっておらず、一番有力な説は月経血が卵管を通り卵巣に生着してしまうというものです。月経血の逆流はほとんどの女性に起こり、通常はこの逆流した経血は免疫細胞により処理されます。しかし一部の女性では、免疫細胞の能力低下や、子宮内膜組織が生着しやすい炎症性骨盤内環境により、チョコレート嚢胞が発生すると考えられています。

 

漢方で考えるチョコレート嚢胞

チョコレート嚢胞は卵巣に子宮内膜組織や血液などが貯留している状態です。
中医学では「」「けつ」「津液しんえき」の流れの停滞(滞り)、または過不足により引き起こされると考えます。
「気」はエネルギー。身体を温める力、血液・体液・内臓をあるべき場所に保持する力、代謝力、免疫力のことです。
「血」は血液。全身を栄養して、精神活動を支えるものです。
「津液」は血液以外の体液。身体を潤すものです。
この「気」「血」「津液」のどこに問題があるかを見極め、漢方薬や鍼灸による治療を行います。体質(タイプ)によって、同じチョコレート嚢胞のお悩みを持つ方でも、適した漢方薬や、鍼灸で刺激するツボが異なります。自分がどんな体質なのかを簡単にチェックしてみましょう。

 


中医学体質別治療法

① 冷えと「血」の滞り…寒凝血瘀かんぎょうけつお体質

 

身体の状態:冷えにより「血」の流れが緩慢で滞っている状態です。

治療方法:身体を温めながら全身の血の巡りを改善する「散寒活血化瘀さんかんかっけつかお」の治療をします。そして局所的な「血」の停滞を解消し、卵巣内の子宮内膜組織や「血」が処理されやすいようにしていきます。

 

漢方

温経湯、桂枝茯苓丸、芎帰調血飲、烏薬、艾葉など

ツボ

血海、三陰交など、お灸も使用して温めていきます

 

 

② 熱と「血」の滞り…瘀熱おねつ体質

 

身体の状態:自律神経や脳の興奮などにより身体の一部分において血管が膨らみ充血することで熱がこもります。一方で他の部分において「血」が不足する虚血状態となり「血」の流れが滞っている状態です。

治療方法:自律神経や脳の興奮を静め過剰な熱をさまし、偏っている「血」の巡りを改善する「清熱活血化瘀せいねつかっけつかお」の治療をします。そうすることで、局所的な「血」の停滞を解消し、卵巣内の子宮内膜組織や古い「血」が処理されやすいようにしていきます。

 

漢方

血府逐瘀湯、桃核承気湯、丹参、川玉金など

ツボ

血海、行間、間使など

 

 

③ 「津液」の滞り…痰湿瘀阻たんしつおそ体質

 

身体の状態:胃腸機能の低下や食生活の乱れによって胃腸へ負荷がかかり、余分な水分や老廃物といった「津液」が体内に停滞した結果、「気」や「血」の流れも滞っている状態です。

治療方法:食生活改善のアドバイスと共に、胃腸機能を回復し、余分な水分や老廃物の排出を高め、「気」「血」の巡りを改善する「化痰除湿活血かたんじょしつかっけつ」の治療をします。それにより、局所的な「血」の停滞を解消し、卵巣内の子宮内膜組織や古い「血」が処理されやすいようにしていきます。

 

漢方

桂枝茯苓丸加ヨクイニン、二陳湯、平胃散、益母草など

ツボ

陰陵泉、豊隆、三陰交など

 

 

④ 「気」の不足…腎気虚じんききょ体質

 

身体の状態:身体を温める力、血液・体液・内臓をあるべき場所に保持する力、代謝力、免疫力などを担っている「気」が不足している状態です。

治療方法:不足している「気」を補い、「気」の働きが発揮できるようにする「補腎調経ほじんちょうけい」の治療を行います。そして卵巣内の子宮内膜組織や古い「血」が処理されやすいようにしていきます。

 

漢方

八味地黄丸、亀鹿二仙膠、続断、菟絲子など

ツボ

腎兪、関元、湧泉、足三里など

 

 

 

暮らしのアドバイス

・体を動かす習慣をつけましょう。
・脂質が多い食事は控え、色の濃い野菜や青魚といった食材を多くとりましょう。
・睡眠時間は7時間を目安に、質のよい睡眠がとれるように工夫しましょう。
・生理の際は、体が冷えないように気を付け、無理をしないで過ごしましょう。
・好きなアロマなどを活用しリラックスする時間をとりましょう。

 

 

 

チョコレート嚢胞でお悩みの方へ

漢方薬の服用や鍼灸の治療では、自分の体質をきちんと確認しましょう。同じチョコレート嚢胞のお悩みの方でもタイプが異なれば、適した治療方法や治療方針が異なります。自分にあった漢方薬や鍼灸治療を選択するために、まずは専門家としっかり相談しましょう。

実際の漢方相談、鍼灸治療では、チェックにあるような自覚症状だけではなく、舌や脈といった客観的な情報なども考慮して、総合的に体質を確認していきます。体質や治療方針について納得してから治療を始められます。一人で悩まずに、ぜひご相談ください。

 

日本全国よりご相談を頂いております。
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杉本 雅樹

監修 杉本 雅樹

医師

医療法人社団 マザー・キー 理事長


筑波大学医学群卒

筑波大学附属病院などの勤務を経て、平成17年9月、千葉県館山市にファミール産院を開院

現在は千葉県内にて複数の産婦人科診療所を運営

井上桜

監修 井上桜

薬剤師

国際中医師認定A級(現国際中医専門員)

北里大学薬学部製薬学科卒

上原康嗣

監修 上原 康嗣

鍼灸師・誠心堂式三焦調整法認定鍼灸師


琉球大学医学部保健学科卒業

早稲田医療福祉専門学校鍼灸科卒業

早稲田医療専門学校鍼灸科卒業後は整形外科に勤務を経て2005年誠心堂薬局入社

西葛西院長、新浦安店、妙典店院長、行徳接骨院院長を経て、現在は船橋店で院長を務める