不妊治療って、どんなことをするの?

「病院治療では、タイミング法、人工授精、体外受精といった方法があります」

不妊治療って、どんなことをするの?


まずは「タイミング法」から始めよう!排卵日を推測する

健康なご夫婦であれば1年間タイミングをとることで、約80%のカップルに赤ちゃんが授かります。ですから、まずはタイミング法にしっかり取り組んでみてください。 タイミング法とは、基礎体温の測定と合わせて、排卵検査薬で排卵日を推測し、その日に夫婦生活を持つようにします。正確に排卵日を確定させたい方は、病院の超音波検査(エコー)などで確認します。


人工授精も積極的に組み入れよう

タイミング法と合わせて、ぜひ積極的に行ってほしい受精法に人工授精(AIH)があります。 人工授精は、ご主人がマスターベーションで射精した精子を洗浄、選別、濃縮して、子宮内に注入する方法です。

CHECK 

このような場合の治療法でもあります。

image元気な精子の数が少ない

image頸管粘液の分泌が少ない

image勃起や射精障害・抗精子抗体陽性などで子宮内に精子の侵入がうまくいかない

卵子の成長

ご主人様が「自然でないと」とこだわる方がいます。多分『人工』という言葉に違和感を感じているのでしょう。しかし、人工授精での医療行為は、ほんの少し手を貸すだけ。受精・着床は自然妊娠となんら変わりません。

是非、積極的に活用することをお勧めします。

2022年4月からは保険適用になったおかげで、ご夫婦の負担が低く抑えられるようになりました。




35歳からの妊活には体外受精も含めて検討しましょう

着床の窓

卵子の質は35歳から1年ごとに約10%程度低下すると考えられています。

また、卵子の数に個人差はありますが、
  35歳で約6万個程度あった卵子が、
  37歳では約3万個程度、
  40歳では5000個へと減少します。


病院で積極的に体外受精(IVF)を進めるのはそういった理由でもあります。

本来、体外受精は、両卵管のつまりや卵管切除したなどの卵管性不妊のほか、男性不妊(元気な精子の数が少ない)、重度の子宮内膜症、抗精子抗体(精子を攻撃してしまう免疫の病気)などが対象でした。

しかし、近年晩婚化が進む中、受精までの期間をできるだけ短縮することが求められています。


体外受精の内容については、具体的には病院でご確認ください。 2022年4月から保険適用となって、体外受精での自己負担額が高額療養費制度の範囲となったため、1回の体外受精にかかる負担は約10万円程度(先進医療を一部含む)になりました。


一般的な体外受精の流れでは、1度に複数の卵子を採卵するために、排卵誘発剤の注射を連日打って卵胞を育てます。採卵まで3回ほど通院して超音波検査やホルモン検査で卵胞の発育を確認し、採卵日を決めます。


採卵した卵は、各々チェックを受けて成熟卵の場合は、精子を振りかけて受精卵を作ります。正常受精したら数日間培養して胚盤胞にまで育て、凍結する場合と初期胚(8分割程度)で新鮮胚移植する場合があります。



CHECK 

体外受精のメリット

体外受精は、排卵誘発剤の投与や超音波検査、採卵など、女性の身体的な負担が多い治療です。

image受精するかどうかが確認できる、さらに胚のグレードがわかる

これは、妊娠しやすさの目安であり、一部の不妊原因がわかることにもつながります。もし、うまく受精しない受精障害の場合には、次回、顕微授精(ICSI)が選択肢となります。

image精子の質がわかる

image同時期に複数の卵子を採卵することで、2人目3人目を考えている夫婦には有利になる

妊娠率は年齢によって異なり、日本産科婦人科学会の2019年のデータでは、30歳で27.5%、35歳で25.2%、40歳で15.6%です(いずれも総治療周期のうち妊娠した割合)。

着床
自然なタイミング法や人工授精と併用するなど、妊活のバリエーションを持たせてください。

妊活の早道は夫婦生活を良好にすることです。

京都の足立病院のデータで、夫婦生活(タイミング)の回数と体外受精の成功率を調査した結果、体外受精での妊娠においても一番妊娠率が高いのは月平均5回以上タイミングをとっているケースでした。

とにかく、体外受精や顕微授精が始まると、夫婦生活の回数が極端に減少するケースが見られます。 ぜひ、基本に立ち戻って妊活をお考え下さいね。




ざっと、お話を進めてきましたがいかがでしたでしょうか? 妊娠までの道のりには、とても多くの関門があることに気づかされますね。 我々も、サポートする側として、元気な精子や元気な卵子、元気な子宮をつくるために日々応援しております。



更新日:2023-12-02