漢方薬辞典-あ行
安神定志丸
(管理No.02-014)
安中散
効能効果 |
神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱 |
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配合生薬 |
桂皮(ケイヒ)、牡蛎(ボレイ)、縮砂(シュクシャ)、延胡索(エンゴサク)、茴香(ウイキョウ)、甘草(カンゾウ)、良姜(リョウキョウ) |
出典 |
《和剤局方》の巻3が出展である(正しくは《太平恵民和剤局方》の巻3・治一切気附脾胃積聚)。 「遠年日近(急性や慢性)の脾疼翻胃(胃腸が痛み飲食物が下に降りないもの),口に酸水を吐し寒邪の気が内に留滞して停積消えず(胃酸を吐き、冷えの病邪が停滞して、飲食物を消化できず),胸膈脹満し、腹脇を攻刺し,悪心嘔逆し,面黄にして肌やせ(顔色は艶がなく黄色であり肌が痩せ),四肢倦怠を治す。また婦人の血気刺痛(気血の滞りによる刺すような痛み),小腹より腰に連なり,攻疰重痛する(牽引性の痛み)を治す」とある。 |
方意と構成 |
裏寒の疼痛(体内の冷えによる痛み)に適用する。 延胡索・高良姜・茴香・桂皮の配合で、寒さや寒冷物の飲食による脾胃(胃腸)など中焦部の冷えを取り除く <温経散寒>。また、悪心・嘔吐・呑酸など胃気上逆の症状を鎮め、痛みを止める<降逆止痛> 。牡蛎は胃酸を抑え<制酸固渋> 、縮砂は気を巡らせて痛みを止めるとともに消化を助け <行気止痛・消導> 、甘草は諸薬の調和に働く。長期にわたる寒邪(冷えの病邪)の停留で生じる脾・胃・肝の気滞(気の滞り)の痛みにも用いることができる。 安中散の薬性は2つの"平”を除いて“温”または“熱”の性質であり、これらを服用すれば温まり、血行が良くなることで冷えを改善し、減衰した機能を回復することができる。 |
(管理No.02-013)
一貫煎
効能効果 |
腹満、呑酸、嘔吐、咽喉や口の乾燥感 |
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配合生薬 |
沙参(シャジン)、麦門冬(バクモンドウ)、当帰(トウキ)、地黄(ジオウ)、枸杞子(クコシ)、川楝子(センレンシ) |
出典 |
《柳州医話》に記載がある。 |
方意と構成 |
主薬の生地黄は、肝と腎を養い虚熱(陰血が不足したために生じた熱)を清する<滋補肝腎>
。これに肝を柔軟にさせる当帰・枸杞子を加え、肝の疏泄(気血の巡りを伸びやかにする働き)を整える
<養血補肝>
。沙参・麦門冬は胃の陰(体液)を生み呑酸・嘔吐など胃気が上逆した状態を改善し
<生津養胃・降逆>、川楝子は肝気を疏泄すると同時に熱を瀉す<疏肝理気>
。 |
(管理No.02-016)
胃苓湯
効能効果 |
食あたり、暑気あたり、冷え腹、急性胃腸炎、腹痛 |
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配合生薬 |
蒼朮(ソウジュツ)、陳皮(チンピ)、沢瀉(タクシャ)、白朮(ビャクジュツ)、厚朴(コウボク)、猪苓(チョレイ)、茯苓(ブクリョウ)、桂皮(ケイヒ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ) |
出典 |
平胃散は《和剤局方》、五苓散は《傷寒論》を出典としている。もともと、どちらも散剤であるが、合方となって湯液となり、胃苓湯として《万病回春》に出ている。 《万病回春》に「中暑(暑気あたり),傷湿(水湿による病で),停水(水の停滞があり),夾食(消化不良で),脾胃不和(胃腸の働きの不調和があり),腹痛洩瀉(下痢),渇を作し(口の渇き),小便利せず(尿量が減少して),水穀化せず(消化不良で飲食物を栄養にできず),陰陽分かたざる(陰にも陽にも必要なものに分けることができないもの)を治す」とある。 |
方意と構成 |
水瀉性の下痢(水様便)に常用され、特に夏の水あたり・食あたりなどに効果がある。 宿食(飲食物が消化されず胃内に残るもの)を消化して胃内停水を去る「平胃散」に<燥湿運脾> 、小便を出し余分な水の停滞を除去する「五苓散」を加えて大便を固める<利水止瀉> 。陳皮・厚朴・桂枝により気を巡らせて消化管の蠕動運動を助けるとともに、胃腸内の水分停滞を処理すると考えられる。 |
(管理No.02-002)
茵蔯蒿湯
効能効果 |
じんましん、口内炎 |
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配合生薬 |
茵蔯蒿(インチンコウ)、山梔子(サンシシ)、大黄(ダイオウ) |
出典 |
《傷寒論》の陽明病篇と、《金匱要略》の黄疸篇とに出ている。 陽明病篇に出ている大要は「熱があって便秘し,首から頭の方にだけ汗が出て,のどが渇いて水を飲むのに小便が出ない症状は瘀熱(血の停滞と熱)が裏(体内)にあるからで、2~3日たつと黄疸になることがある。こんな場合は黄疸の有無を問わず茵蔯蒿湯を服用すべきだ」、「熱が出て風邪のような症状が続くうち体が黄色になってきた。この場合小便の出が少なく、腹が脹って、灰色便(石鹸便)になっていることが多い。茵蔯蒿湯が主治する」である。 また《金匱要略》では「穀疸とよばれる黄疸病の一種は寒気がしたり,熱が出たりして食欲がない。食べるとめまいがし、むかむかして吐きそうになる。そしてしばらくすると体が黄色くなってくる。この時は茵蔯蒿湯が主治する」とある。 |
方意と構成 |
本方は、黄疸だけでなく体内に鬱熱(鬱積した熱)がある各疾患に用いられる。 主薬である茵蔯蒿を大量に使用し、湿熱(水分代謝が悪く熱がこもった状態)を取り除き黄疸を消し去る <清熱利湿・退黄> 。山梔子は三焦(全身)の湿熱を下に誘導、茵蔯蒿とともに小便として排泄する <清熱利水>。大黄は大便を通して中焦(胃腸)の瘀熱(血の停滞と熱)を下泄する <泄熱通便>。以上により湿熱を小便と大便から取り去るのである。 茵蔯蒿の利胆(胆汁の流れを良くして肝臓を守る働き)効果は漢薬中第一といわれ、単味で使用しても胆汁分泌作用は約70%の増加をみるという。山梔子にも利胆作用がある。また、山梔子には消炎作用もあり大黄の消炎作用と協力して急性の炎症に効果がある。 |
(管理No.02-003)
茵蔯五苓散
効能効果 |
嘔吐、じんましん、二日酔いのむかつき、むくみ |
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配合生薬 |
沢瀉(タクシャ)、猪苓(チョレイ)、桂皮(ケイヒ)、茯苓(ブクリョウ)、白朮(ビャクジュツ)あるいは蒼朮(ソウジュツ)、茵蔯蒿(インチンコウ) |
出典 |
《金匱要略》の黄疸病篇に「黄疸病は茵蔯五苓散が主治する」と出ている。 |
方意と構成 |
茵蔯蒿により湿熱(水分代謝が悪く熱がこもった状態)を去り<清熱利湿・退黄> 、利水作用のある「五苓散」で余分な水の停滞を除く<利水滲出> 。処方全体としては利水作用に主体があり、炎症をとる働きは補佐である。黄疸だけでなく、湿が熱より重い湿熱に広く用いてよい。「茵蔯五苓散」の証と「茵蔯蒿湯」の証とは似ているが、大きな違いは便秘していないか、便秘しているかで使い分ければよい。 |
(管理No.02-004)
右帰飲
効能効果 |
元気がない、疲れやすい、腰や膝がだるく無力、腹痛、四肢の冷え |
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配合生薬 |
地黄(ジオウ)、山薬(サンヤク)、山茱萸(サンシュユ)、枸杞子(クコシ)、甘草(カンゾウ)、杜仲(トチュウ)、桂皮(ケイヒ)、炮附子(ホウブシ) |
出典 |
《景岳全書》に「これ益火の剤なり(火の源を益する薬である),およそ命門の陽衰え陰勝れば(生命の火が衰えて陰気が勝ったならば),この方の加減によろしくこれを主る」とある。 |
方意と構成 |
主薬は熟地黄・附子・桂皮であり、地黄で真陰(腎の陰)を養い補った上で附子・桂皮で真陽(腎の陽)を温めて冷えを散らす <補真陽>。これに肝腎を養う枸杞子・山茱萸<補腎益精・養肝> 、脾胃(胃腸)の機能を高め腎の精気を守る山薬<補腎益精・健脾> 、肝腎を温陽する杜仲<温補肝腎>、脾胃(胃腸)を調和させる甘草 <健脾和中>が配合されている。 全体で腎・肝・脾を補益する。以上により、命門の陽(生命の火)である真陽が衰微した状態を改善する。 |
(管理No.02-017)
右帰丸
効能効果 |
元気がない、疲れやすい、腰や膝がだるく無力、腹痛、四肢の冷え |
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配合生薬 |
地黄(ジオウ)、山薬(サンヤク)、山茱萸(サンシュユ)、枸杞子(クコシ)、鹿角膠(ロッカクキョウ)、菟絲子(トシシ)、杜仲(トチュウ)、当帰(トウキ)、桂皮(ケイヒ)、炮附子(ホウブシ) |
出典 |
《景岳全書》に記載がある。 |
方意と構成 |
本方は真陽(腎の陽)を養う「右帰飲」の加減方である。右帰飲から甘草を除いて、血肉有情の品(動物性の薬で補う力がつよいもの)を追加したもので、鹿の角である鹿角膠が真陽を温め精を補充する <補真陽>。これに、腎の精気を養う菟絲子<補腎益精>、血を養い血行を良くする当帰 <補血活血>を加え、精を補う効能をよりつよめている。 |
(管理No.02-018)
温経湯
効能効果 |
月経不順、月経困難、こしけ、更年期障害、不眠、神経症、湿疹、足腰の冷え、しもやけ |
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配合生薬 |
半夏(ハンゲ)、麦門冬(バクモンドウ)、当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、芍薬(シャクヤク)、人参(ニンジン)、桂皮(ケイヒ)、牡丹皮(ボタンピ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、呉茱萸(ゴシュユ)、阿膠(アキョウ) |
出典 |
金・元の時代の四大医家といわれる劉完素の著述になる《黄帝素問宣明論方》中風門に出る。 《金匱要略》巻下 婦人雑病脈証并治第22にも記載がある。「50ばかりの婦人,子宮出血が数十日も止まらないで,夕方になると発熱する。下腹部が攣急して脹り,掌が熱っぽく,唇が乾燥する。これはなぜかと師に尋ねると、師は『この病気は帯下(おりものの異常)に属する。以前に流産などしたときの瘀血(血の滞り)が下腹部に残ってしまったためで温経湯を使うべきだ』と答えた」、「冷え性の婦人が,下腹部の冷えのために,長い間受胎しないというとき温経湯を使え」、「子宮出血が多かったり,月経過多であったり,月経不順があったりするものは温経湯を使え」とある。 |
方意と構成 |
本方は体内の冷えを温め、瘀血(血行不良)を去り、体の活力を養うように働く。 呉茱萸と桂枝が主薬で、冷えを取り去り血脈を通じて血行を促進する<温経散寒通脈> 。当帰・白芍・川芎および牡丹皮は、血を養い血行不良を取り除く<養血活血> 。阿膠・麦門冬・牡丹皮は、必要な陰血(体液や血)を補充して虚熱(陰血が不足したために生じた熱)を取り除く <養陰清熱> 。阿膠は止血にも働く。人参・炙甘草・半夏・生姜は、脾胃(胃腸)の働きを良くして体に必要な陰血の生成を高める <益気健脾>。 |
(管理No.02-005)
温清飲
効能効果 |
月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症 |
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配合生薬 |
当帰(トウキ)、熟地黄(ジュクジオウ)、芍薬(シャクヤク)、川芎(センキュウ)、黄芩(オウゴン)、山梔子(サンシシ)、黄連(オウレン)、黄柏(オウバク) |
出典 |
《万病回春》血崩門 「婦人の血崩(不正性器出血)を治す。年40以上,悲哀甚だしければすなわち,心悶急し,肺葉挙げて焦す(悲しく哀れなものが甚だしく、思い悩みもだえ苦しんで肺を焦がす)。而して上焦通ぜず熱気中にあり(よって心と肺に熱がこもり巡らなくなる)。ゆえに血走って崩し,面黄に肌痩す(血が走って不正出血し顔色が艶がなく黄色になり肌が痩せる)。慎んで燥熱の薬を服すべからず(燥性と熱性のある薬物を服用してはいけない)。蓋し血熱して妄攻するなり(血に熱がこり暴れるようになってしまう)。(中略)やや久しく虚熱(陰血が不足したために生じた熱)に属する者は,宜しく養血して清火すべし(血を養い熱を瀉すべし)。婦人の経水往まず(月経が止まらず),あるいは豆汁のごとく,五色相まじり(豆汁のように色々な色を呈し),面色は萎黄し(顔色が艶がなく黄色で),臍腹は刺痛し(臍や腹に刺しこむ痛みがあり),寒熱往来(悪寒と発熱が交互にして),崩漏(不正性器出血)止まらざるを治す」 |
方意と構成 |
本方は、血を補い停滞を防ぐ“養血活血”の「四物湯」と、炎症を瀉し解毒する“清熱解毒”の「黄連解毒湯」との合方である。 主に充血・炎症・出血などの症状がみられる血熱(血に熱がこもっている状態)の体質に用いられ、また、精神的興奮・不安焦燥感・心悸亢進・不眠などにも多用されている。なお、四物湯は月経を整える働きもあり、血熱による月経不順(月経周期の短縮・月経期間の延長・不正性器出血など)にも適用する。 |
(管理No.02-006)
温脾湯
効能効果 |
便秘、慢性の下痢、腹痛、手足の冷え、食欲不振、疲れやすい |
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配合生薬 |
大黄(ダイオウ)、炮附子(ホウブシ)、乾姜(カンキョウ)、人参(ニンジン)、甘草(カンゾウ) |
出典 |
《千金要方》と《本事方》に記載がある。温脾湯には薬味構成がやや異なる処方があるが治法・主治はほぼ同じである。 |
方意と構成 |
本方は、新陳代謝が著しく落ちているものに用いる「四逆湯」に人参・大黄を加えている。 温めて寒邪(冷えの病邪)を散らす附子・乾姜と<温陽散寒> 、気を養い脾胃(胃腸)を元気にする人参・炙甘草の組み合わせで<補気健脾> 、脾の陽気を養うとともに冷秘(冷えによる便秘)を解消する。“寒性”の性味である大黄に、“温熱性”の附子・乾姜を配合することで、大黄の寒性を消失させて便を出す効能のみを引き出し <瀉下通便> 、寒積(冷えの病邪が胃腸内にあるもの)を駆逐する。脾の陽気を補うだけでは寒邪による詰まりを除けず、便を出すだけでは脾の陽気をさらに損傷するため、正気(病邪に対抗する力)を補うと同時に病邪を除く必要がある。 |
(管理No.02-019)
越婢加朮湯
効能効果 |
腎炎、ネフローゼ、脚気、関節リウマチ、夜尿症、湿疹 |
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配合生薬 |
甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、石膏(セッコウ)、白朮(ビャクジュツ)あるいは蒼朮(ソウジュツ)、大棗(タイソウ)、麻黄(マオウ) |
出典 |
《金匱要略》に「裏水(体内に水が停滞するもの)は,一身面目黄腫(全身が黄色くむくみ)し,その脈は沈,小便利せず(尿量が減少して),ゆえに水を悩ましむ,もし小便自利する(小便が出すぎる)は,これ津液(体液)を亡くし,ゆえに渇せしむるなり,越婢加朮湯これを主る」とある。 |
方意と構成 |
肺の気を巡らせ水の流れを整え炎症を取り去る「越婢湯」<宣肺泄熱・利水消腫> に白朮あるいは蒼朮を加えたものである<健脾利水> 。越婢湯の証で、浮腫があり、尿量が減少して水の停滞が顕著な場合に用いる。 |
(管理No.02-008)
越婢湯
効能効果 |
腎炎、ネフローゼ、脚気、関節リウマチ、夜尿症、湿疹 |
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配合生薬 |
甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、石膏(セッコウ)、大棗(タイソウ)、麻黄(マオウ) |
出典 |
《金匱要略》に「風水(風の病邪が体表を襲い肺の機能が失調するために水を全身に送れなくなる状態),悪風し(風が当たると寒気がして),一身悉く腫れ(全身がむくみ),脈浮にして渇せず(脈が浮で口渇がなく),続いて自汗出で(汗が出て),大熱なき(熱がないものは)は,越婢湯これを主る」 |
方意と構成 |
温めて発散する“辛温”の麻黄を大量に使い肺気を宣発(体の上部や外側に発散する働き)し、水道を巡らせ利尿することでむくみを解消する。冷やしつつ発散する“辛寒”の石膏を麻黄の倍量配合することで麻黄の温性を消し、薬全体として涼性に傾かせ、炎症を取りつつ余分な水の排出を行うことができる <宣肺泄熱・利水消腫>。生姜は麻黄・石膏の働きを補助し<通陽散水> 、甘草・大棗との配合で脾胃の運化機能(胃腸の働き)を高め、水の代謝を良くすることで水湿が引き続き留まるのを防止する <健脾和胃>。 |
(管理No.02-222)
黄耆桂枝五物湯
効能効果 |
腎炎、ネフローゼ、脚気、関節リウマチ、夜尿症、湿疹 |
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配合生薬 |
黄耆(オウギ)、白芍(ビャクシャク)、桂皮(ケイヒ)、生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ) |
出典 |
《金匱要略》に「血痺(もともと気血不足があり、外気から受けた病邪により血の巡りが悪くなって麻痺が生じるもの),陰陽ともに微(陰と陽が伴に弱く),寸口関上は微(寸口・関上の脈は弱く <営衛虚弱>)、尺中の小しく緊(尺中の脈は小さく緊<風の病邪> で),外証は身体不仁し(体がしびれ),風痺の状のごとき(風の病邪による関節痛のようであるもの)は,黄耆桂枝五物湯を主る」とある。 |
方意と構成 |
黄耆・桂枝で気を養い陽気を通じ<益気通陽>、白芍で血を養い<養血和営> 、大棗・生姜で営衛(血中で全身を滋養する営気と体表で体温調整や防御をする衛気)を調和させる <調和営衛>。 全体で、営衛をつよめ体表を固めて血行を良くし、血脈を巡らせることで皮膚のしびれや知覚麻痺を解消する。 |
(管理No.02-223)
黄耆建中湯
効能効果 |
虚弱体質、病後の衰弱、ねあせ |
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配合生薬 |
桂皮(ケイヒ)、大棗(タイソウ)、芍薬(シャクヤク)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、黄耆(オウギ)、膠飴(コウイ) |
出典 |
《金匱要略》巻上・血痺虚労病脉證并治第6 虚労裏急(疲労が強く腹部がひきつり),諸不足,黄耆建中湯之を主る。小建中湯内に黄耆1両半を加う。餘は上法による(上法とは小建中湯の煎じ方のこと)。 |
方意と構成 |
お腹を温めて痙攣性の痛みをとる「小建中湯」に<温中補虚・緩急止痛> 、気を補い下に墜ちたものを上に挙げる“益気昇陽”の黄耆を加えたもので、小建中湯が適用する証よりもさらに気虚(エネルギー不足)がつよい状態に適用することができる。 |
(管理No.02-009)
黄連阿膠湯
効能効果 |
鼻血、不眠症、かさかさした皮膚のかゆみ |
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配合生薬 |
黄連(オウレン)、黄芩(オウゴン)、芍薬(シャクヤク)、阿膠(アキョウ)、卵黄(ランオウ) |
出典 |
《傷寒論》の少陰病篇には「少陰病(脈が微細でただ寝ていたいというもの)になって2,3日以上経った時,興奮,のぼせ,逆上,狂躁(精神異常),不眠,煩躁(じっとしていられない),心悸亢進などの心中煩(胸部がほてって落ち着かない)の症状を起して,じっと横になっていることができなくなった時は黄連阿膠湯を服用すべきである」とある。 |
方意と構成 |
動悸があり、胸苦しく、不眠・煩躁・顔面紅潮・興奮・のぼせなどがあるものに用いる。 心の熱を抑える黄連を黄芩で補佐し<清心火> 、熱によって乾燥し栄養が悪い状態に阿膠・白芍が加えられている<滋陰養血> 。鶏黄(卵黄)で心腎を養いバランスが乱れた状態を改善させて、精神安定に働く <心腎交通> 。全体として炎症を冷ます“清熱”と陰(体液)を養う“滋陰”を同時に行っている。 |
(管理No.02-010)
黄連解毒湯
効能効果 |
鼻出血、不眠症、ノイローゼ、胃炎、二日酔い、血の道症、めまい、どうき |
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配合生薬 |
黄連(オウレン)、黄芩(オウゴン)、黄柏(オウバク)、山梔子(サンシシ) |
出典 |
《肘後方》(350年頃・葛洪)に「熱極(熱が極まり),心下煩悶(みぞおちが悶え苦しみ),言は狂い鬼を見,起走せんと欲し(精神が錯乱して鬼がいると言い走りだそうとする),煩嘔(胸部が落ち着かず嘔吐する),眠るを得ざるを治す」とある。 《勿誤薬室方函口訣》には「この方は胸中熱邪を清解するの聖剤なり(この方剤は胸中の熱の病邪を解消する聖剤である)。一名倉公の火剤とす(“倉公の火剤”という名がある)」とある(倉公は紀元前180年頃の名医)。 |
方意と構成 |
熱性病の急性期に用いるが、実熱(炎症が強い状態)が慢性化した雑病にも用いられる。 清熱降火(上昇する熱症状を抑える)の「三黄瀉心湯」より大黄を去り、黄柏・山梔子を加えた処方のため瀉心湯の類方と考えられる。黄連は主として心の熱や中焦(胃腸)の火を瀉し、黄芩は主として肺の熱など上焦(体の上部)の火を、黄柏は主として腎と下焦(体の下部)の火を、山梔子は三焦(全身)の火を瀉すとされている <清熱瀉火解毒>。いずれも薬性は“苦寒”であり、消炎・鎮静・利尿の作用がある。 |
(管理No.02-011)
黄連湯
効能効果 |
胃痛、急性胃炎、二日酔、口内炎 |
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配合生薬 |
黄連(オウレン)、甘草(カンゾウ)、乾姜(カンキョウ)、桂皮(ケイヒ)、人参(ニンジン)、半夏(ハンゲ)、大棗(タイソウ) |
出典 |
《傷寒論》に「傷寒(風邪をひいて),胸中熱あり,胃中邪気(胃の中に病邪)があり,腹中痛み,嘔吐せんと欲するものは,黄連湯これを主る」とある。 |
方意と構成 |
みぞおちの痞えをとる「半夏瀉心湯」の黄芩を上衝(のぼせなど気が下から上に突き上げるもの)に効く桂枝に代えた処方である。胃腸炎の他に、歯痛・口内炎・二日酔い・神経症などで、冷えのぼせを伴うものに応用できる。 黄連で上焦(体の上部)の炎症を去り<清熱瀉火> 、乾姜・桂枝で中焦(胃腸)を温め、上焦の熱の病邪を下降させる<温中散寒> 。半夏で胃の気を下降させ<化痰降逆> 、人参・炙甘草・大棗で脾(胃腸)の気を補い中焦を整え正気(病邪に対抗する力)を高めて邪を散らす <健脾扶正> 。“辛温”の性味である桂枝は、乾姜とともに陽気を高めて病邪を除く。 |
(管理No.02-225)
乙字湯
効能効果 |
痔核(いぼ痔)、きれ痔、便秘 |
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配合生薬 |
当帰(トウキ)、柴胡(サイコ)、黄芩(オウゴン)、甘草(カンゾウ)、大黄(ダイオウ)、升麻(ショウマ) |
出典 |
《叢桂亭医事小言》には「痔疾(痔疾患で),脱肛痛疏(脱肛の痛みがあり),あるいは下血腸風(下血し),あるいは前陰痒痛(尿道と生殖器が痒くて痛む)のものを理す」とある。 |
方意と構成 |
湿熱(水分代謝が悪く熱がこもった状態)を取り除く黄芩・大黄<清熱利湿>に、血を養い停滞を防ぐ“養血活血”の当帰を配合することにより、血中の湿熱を除くことができる。柴胡・升麻は宣発(体の上部や外側に発散させる働き)により下に墜ちたものをひっぱりあげ、脱肛や痔核を改善し、水の代謝を助ける<昇提>。甘草は諸薬の調和と解毒に働き、薬全体の性質が乾燥に傾くのを抑える。 全体で血中の湿熱を除き、痔核・陰部掻痒・下血皮疹などに適用することができる。 |
(管理No.02-012)