育児ケア
嘔吐

「赤ちゃんの胃のサイズ」

生まれたばかりの赤ちゃんは胃が小さく、少しの量でいっぱいになります。また胃の形も真っ直ぐに近く、大人と比べて簡単に吐いてしまいます。

授乳後、少量の吐き戻しであれば心配はいりません。
一度に与えるミルクの量や、赤ちゃんの姿勢を調節してみましょう。


嘔吐と言えば、冬から春にかけて気をつけたいのが胃腸炎です。
吐き止めの薬は赤ちゃんに使えないものもありますし、嘔吐は身体にとって異物であるウイルスを排出するための一種の反応なので、ウイルスを出し切るまでは無理に止めない方が良いこともあります。

この場合、脱水症状に注意しながら、お家でケアすることがメインになるでしょう。
食欲が戻るまでの間は 小児推拿しょうにすいながおすすめです。

下痢症状もある場合は「育児ケア 下痢」も併せてご覧ください。




中医学で考える嘔吐

中医学では「脾」と「胃」の問題として考えます。
「胃」は食べたものを受け入れて、下へ下へと向かわせる働きがあります。しかし何らかの原因でこの胃の力が弱まると、食べたものを下へと送れなくなり、逆流(気逆きぎゃく)し、吐き出してしまうのです。

原因には
・寒さで胃の働きが悪くなる
・胃に生まれた熱が上に向かってしまい気逆する
・単純に食べ過ぎ
など様々ですが、共通して重要なのは胃の動きを正常にして、流れを下へ向かわせることです。


「脾」は食べ物を消化するだけでなく、身体の水分を適切に処理する働きがあります。

脾が処理しきれなくなった水が胃にたまり、あふれ出てしまうと嘔吐になります。余分な水が身体に悪さをする「水毒すいどく」「水滞すいたい」という体質が嘔吐の原因になります。

日本で嘔吐の時に病院で処方される漢方薬は、脾を助けて水を処理するものがメインです。 これは住んでいる場所の環境を体質の判断に考慮するという中医学の考え方によるものです。

日本は海に囲まれた島国であり、湿気が多く脾の弱い人が多くみられるため、胃腸の状態を大事にするのです。


お家でできるケア

顔を上に向けない

吐いた物で窒息しないように、上向きを避けましょう。吐いたら顔を下に向けて抱っこします。首が座っていない赤ちゃんは横に寝かせましょう。 汚れた時に着替えやすいように、前開きの服がおすすめです。


吐いた直後の水分補給はゆっくりと

下痢で水分が失われているので、白湯などで水分補給をしてあげましょう


飲ませるものは人肌に

冷たいものは胃に刺激となり、吐きやすくなります。また冷えると胃の力も弱まってしまいます。水分を摂るときは常温以上の温かさであげましょう。


母乳・ミルクは好きなだけ

赤ちゃんが吐かなければ特に制限しなくても大丈夫です。様子を見ながら欲しがるだけあげましょう。



こんな時は受診!

・嘔吐が激しく、半日以上水分が摂れない
・元気が無く、ぐったりしている
・水のような下痢が1日に6回以上
・泣いているのに涙が出ない
・目のくぼみや頭のやわらかい部分(大泉門)がへこんでいる
・おしっこの量が少ないor 6時間以上出ない
・うんちに血が混じる

小児推拿しょうにすいな

小児推拿を行う際のポイント

1
胃を必要以上に圧迫すると、嘔吐を誘発させやすくなります。腹部への推拿は軽めで行うか、赤ちゃんが嫌がるようならやめておきましょう。
2
肌トラブルがある箇所には行わない。
3
書かれた順番にこだわらず、ふれられる箇所から行います。
4
赤ちゃんの機嫌が良い時に、マッサージをする人もゆったりとした気持ちで行いましょう。
小児推拿

1. 補脾経ほ・ひけい 100回
親指の外側を指先から掌に向けて、指で素早くなでます。

2. 板門ばんもん 100回
親指の付け根のふくらみ部分を、手首から指に向けて素早くなでます。

3. 分腹陰陽ぶん・ふくいんよう 50回
みぞおちに当てた両親指を、肋骨の下辺に沿って左右に開きます。

4. 揉足三里じゅう・あしさんり 20回
脛の骨の外側、膝の骨から指1~2本分下をやさしく揉みます。




公開日:2023-04-01
更新日:2023-12-06

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