体質で考える「しみ」

更新日:2023.11.21

 

 

 

しみとは?

体質で考える「しみ」

体質で考える「しみ」

皮膚は身体を覆うヴェールのようなものであり、様々な刺激から自らを守るために防御反応を引き起こします。この反応でできるのがメラニンであり、しみのもととなりますが、通常は新陳代謝により体外へと排泄されていきます。しかし、現代社会では過剰なストレスや大気汚染、紫外線の増加など、外的刺激が多すぎるためにメラニンの排泄が追い付かなかったり、皮膚の細胞自体の機能が衰えて新陳代謝がうまくいかなくなるなど、若い方にまでしみが見られるようになりました。

 

しみの原因と治療

紫外線
光老化のことで、紫外線を浴びた量が多いほど、しみが生まれやすくなります。

活性酸素
ストレスやタバコ、お酒、大気汚染、化学物質などによりメラノサイトが活性化され、メラニン生成が促されます。

新陳代謝の低下
加齢や不規則な生活、睡眠不足などにより、生成された黒色メラニンを排泄することができないため、蓄積されていきます。

女性ホルモン(エストロゲン)の分泌不良
妊娠や不規則な生活、ストレスなど、ホルモンバランスが乱れることにより、メラノサイトが活性化されます。肝斑(かんぱん)は、ほほ骨のあたりに左右対称にできるしみのことで、妊娠や避妊避妊薬の服用などホルモン分泌の乱れによって生じるとされています。

治療には、ビタミンCやE、Lシステイン、コエンザイムQ10などが、肝斑の場合はトラネキサム酸の内服などが用いられます。美容外科ではレーザー治療などが行われることもあります。

 
体質で考える「しみ」

漢方で考えるしみ

体質で考える「しみ」

しみの原因は、血の滞り、いわゆる“瘀血(おけつ)”によるものです。血液の流れが悪いと、皮膚細胞におけるメラニンを排泄する力が低下して、しみはどんどん濃くなっていきます。瘀血の状態が続くと、新鮮な血液が十分届かないため元気な細胞を作ることができず、肌ツヤや潤いも減り、結果としてパサパサに乾いた砂漠肌になってしまいます。

瘀血となる原因の1つ目は、血(けつ)を貯蔵して血流をコントロールする“肝(かん)”の機能低下、2つ目は老化やホルモン分泌を司る“腎(じん)”の衰え、3つ目は皮膚の新陳代謝に関わる“脾(ひ)”のエネルギー不足です。

 


中医学体質別治療法

① 肝腎陰虚(かんじんいんきょ)体質
身体に必要な陰血(体液や血)が不足して血行が悪くなっている。
随伴症状:足腰のだるさ、耳鳴り、めまい、眼精疲労、のぼせ、ほてり、イライラなど。
中医学において、腎は生命エネルギーである“精(せい)”を貯蔵しており、肝という臓腑は血(けつ)を貯蔵しています。ストレスや加齢により肝と腎が弱ると、身体の栄養状態が悪くなるため血行不良が生じ、皮膚の新陳代謝が低下します。

 

漢方

杞菊地黄丸、二至丸合六味丸など

ツボ

太谿、三陰交など

食材

黒ごま、黒きくらげ、アスパラガス、山芋、卵、人参、ほうれん草など

 

 

② 気滞血瘀(きたいけつお)体質
ストレスにより気の巡りが停滞して血行不良となる。
随伴症状:肩こり、頭痛、イライラ、憂うつ感、喉のつまり、便秘など。
気は血(けつ)を押し流す働きをしており、ストレスなどにより気の流れがスムーズではなくなると、血までも滞るようになります。

 

漢方

血府逐瘀湯、加味逍遙散など

ツボ

太衝、三陰交など

食材

ミント、ジャスミン、春菊、三つ葉、みかんの皮、バラの花、玉ねぎなど

 

 

③ 気血両虚(きけつりょうきょ)体質
身体に必要な気(エネルギー)や血(けつ)が不足している。
随伴症状:疲労倦怠感、食欲不振、不眠、顔色が蒼白、めまい、眼精疲労、動悸、脱毛など。
過労や胃腸虚弱、栄養失調、出産などにより身体の基本となる気や血が不足すると、皮膚の新陳代謝が低下して血行が悪くなり、しみを生じさせます。

 

漢方

十全大補湯、人参養栄湯など

ツボ

足三里、気海など

食材

豆腐などの大豆製品、卵、いんげん豆、山芋、人参、ほうれん草など

 

 

 

しみの鍼灸治療

年齢を重ねると引き起こされるのが皮膚の衰えです。美容鍼灸をすることで血行がよくなり、血色のよいツヤのある素肌になっていきます。筋肉や神経、経穴を刺激することで身体全体のバランスを調整し、皮膚本来の回復機能を呼び起こします。

しみで使う代表的なツボ
血海(けっかい)、三陰交(さんいんこう)、合谷(ごうこく)、四白(しはく)、顴髎(けんりょう)など。

 

暮らしのアドバイス

・紫外線対策をしっかりしましょう
・脂っこいもの、甘いもののとりすぎに気をつけましょう
・ストレスはその日のうちに発散しましょう
・便秘が気になる人は排便習慣を身に付けましょう
・寝不足にならないように気をつけましょう