体質で考える「子宮筋腫」

更新日:2023.5.11

 

体質で考える「子宮筋腫」

 

体質で考える「子宮筋腫」

 

子宮筋腫とは?

子宮筋腫は子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で成人女性の4人に1人の割合で見られる疾患です。思春期前の若い女性に発症することはほとんどなく、閉経後には退縮して小さくなるため、筋腫の発育には女性ホルモンが強く関係していると考えられています。 この場合、現代医学での検査は重要な診断・治療の目安となるため、比較的小さな筋腫で、特別な症状が無い場合でも定期的な検診を受けることをお勧めします。

 

 

 

現代医学的診断・治療法

筋腫の発生する部位
*子宮体部(ショウ膜下筋腫、粘膜下筋腫、筋層内筋腫)
*子宮頚部(粘膜下分娩、子宮を支える靭帯に筋腫が発生する)
全体の95%は子宮体部に発生し、残りの5%が頚部に発生するといわれています。

筋腫の主な症状
月経の量が多くなる、月経期間の延長、頻発月経、月経痛などの月経異常と不正出血が見られます(これは中医学も同様です)。また発生する部位や発育方向によりそれぞれ特異な症状が伴います。

検査法
子宮卵管造影や子宮鏡などがあります。

治療法
薬物療法と手術療法があります。

 

~薬物療法~
「偽閉経療法」という薬物を使って半年間ほど月経をとめ、子宮筋腫を小さくする方法です。 治療中は月経の症状で苦しむこともなく筋腫も小さくなるため有効な方法です。 しかし長期間の服用により骨量の減少や更年期障害のような副作用、さらには薬剤の服用中止後に卵巣機能が再開すると筋腫がまた大きくなってしまうという問題点もあります。
その他UAE(子宮動脈塞栓法)という子宮へ流れる血管に栓をして子宮筋腫を小さくするといった治療を行なっている施設もあるようです。

~手術療法~
手術を要する子宮筋腫は、大きさがこぶし大以上のとき、過多月経や不正出血などの出血傾向が強く貧血がひどくなる場合、不妊や習慣性流産、早産の原因になると考えられるときなどです。 治療法は子宮全摘術と筋腫核出術があります。どちらの手術法を用いるかは全身状態、筋腫の数や大きさ、発生部位、将来子どもを希望するかどうかなどにより選択されます。

 

漢方で考える子宮筋腫の治療方法

子宮筋腫で見られる症状の1つに「しこり」があります。 中医学では、この「しこり」の性質や特徴、全身に現れている症状を把握することにより 筋腫が形成された原因、誘発要因を導き出していきます。

「しこり」は体の活動源である<エネルギー>、栄養源である<血>、体を潤す<水>の流れが 長期間停滞することにより形成されていきます。

「気滞」とは主に、精神的ストレスなどにより気の流れが停滞してしまうことです。

「血オ」とは血の流れが停滞してしまう状態をいいます。 気と血は、体の中をいっしょに運行していますので、気滞(血オ)により流れがスムーズでなくなると血(気)の流れも影響を受け、 滞ってしまうタイプです。その結果、しこりが形成されやすくなっていきます。

 

 

中医学体質別治療法

① 気滞(きたい)体質
○主な原因舌の状態
精神的ストレス、イライラしやすく怒りっぽい、マイナス思考。

○筋腫の特徴
・下腹部にしこりがあり、張った感じはあるが触れると堅くはない
・しこりを押すと移動する
・日によっては触れるときと触れない時がある
・痛む部位は一定しない

○月経の特徴イライラ
周期:早まったり、遅くなったりその時の精神状態により変わる
血量:少なく、ぽたぽたと出る程度
色 :紫色っぽく、赤黒い色
質 :レバー状のかたまりが血に混じる

○随伴症状
胸や脇、乳房がはって痛む、イライラしやすい、ガスやげっぷが出やすくなる、頭痛は頭の側面が張って痛む、偏頭痛。

○治療方法
気の流れをスムーズにし、しこりを散らしていく「疎肝解鬱」「行気散結」の治療をしていきます。
漢方:逍遥散、加味逍遥散、桃紅四物湯
鍼灸:下腹部と仙骨に刺激をあたえ子宮の血流をアップさせます
+内関、期門、太衝、肝兪(気の巡りを良くし自律神経を整えます)

 

 

② 湿熱(しつねつ)体質
「脾」のエネルギーが足りないために、食べた物が気・血・水に変わらず、余分な水分が体内に停滞し、経絡(気の流れるルート)の運行を阻害します。滞っている状態が長く続きますと「しこり」が形成されていきます。

○主な原因舌の状態
冷たい水分・甘いもの・味の濃いもの・脂っこいもの、ビール、生ものを多く摂取する、家が湿気を帯びやすい。

○筋腫の特徴
・下腹部の真ん中に堅いしこりを触れる
・しこりを押すと柔らかい

○月経の特徴吹き出物
周期:遅れがち
血量:少なめ
色 :黒っぽい赤色
質 :レバー状のかたまりが血に混じる、粘っこい

○随伴症状
白いおりものが多くでる、水太り体質、色白、体が重だるい、痰が多くでる、 頭が重くめまいがする、胸や胃のあたりがもたれる、吐き気、嘔吐をもよおす、手足・目のむくみ。

○治療方法
脾の働きを高めることにより痰を作らないようにする「健脾化痰」、しこりを散らしていく「散結」の治療をしていきます。

漢方:抑肝散+二陳湯、五苓散、平胃散、牛車腎気丸
鍼灸:下腹部と仙骨に刺激をあたえ子宮の血流をアップさせます。痰湿では吸い玉をよく使用します。
+陰陵泉、豊隆、足三里、三焦兪、脾兪(消化器の働きを高め老廃物を排出します)

 

 

③ 血瘀(けつお)体質
○主な原因
月経中或いは産後、子宮から血が体外へ排出されず(子宮へ)停滞してしまう、ストレス、冷え、外傷、打撲、手術によるうっ血、過労。

○筋腫の特徴
・下腹部にしこりを触れる
・しこりは堅く移動しない
・痛みが強く、触れられるのを嫌がる

○随伴症状肩こり
月経中、下腹部が痛む、脹った痛み、腰痛、痛みのため下腹部を押さえるのを嫌がる。

○月経血の特徴
周期:遅れがち
色 :赤黒い
量 :少ない
質 :レバー状のかたまりが血に混じる

○治療法
血の流れを良くし、停滞した血のしこりを取り除いていく「活血破お」「散結」の治療をしていきます。
漢方:桂枝茯苓丸、温経湯、当帰芍薬散
鍼灸:下腹部と仙骨に刺激をあたえ子宮の血流をアップさせます。冷えがある時はお灸を多用します。オ血が強い時は吸い玉をくわえます
+間使、血海、三陰交、膈兪(全身の血流を良くしホルモンバランスを整えます)。

 

 

 

子宮筋腫の鍼灸治療

鍼灸治療では、血行循環が悪くなったことにより生じる“瘀血”を取り除きます。下腹部や腰周りに直接鍼やお灸で刺激したり、ツボを介して血流をよくすることで腹腔動脈の血流を促進して、傷ついた組織を修復していきます。また、血流をよくする“活血法(かっけつほう)”が必要なときもあるので、低周波治療器(電気パルス)や吸玉施術(カッピング)を併用することがあります。生理前後や生理中に不調がある場合は、特に血の巡りが滞りがちであるため、積極的な鍼灸治療がおすすめです。

子宮筋腫で使う代表的なツボ
関元(かんげん)、三陰交(さんいんこう)、次髎(じりょう)、腎兪(じんゆ)など。


 

体質について

体質は人により異なります。店舗では舌だけでなく脈や血流などを確認させていただくことができ、より詳しく体質が分かります。
ご来店が難しい場合は電話相談やZOOMを使ったオンライン相談も可能です。
予約制となっておりますのでまずは問い合わせください。ご都合に合わせて相談方法、店舗や日にち、お時間をセッティングさせていただきます。

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 お客様の体験談

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杉本 雅樹

監修 杉本 雅樹

医師

医療法人社団 マザー・キー 理事長


筑波大学医学群卒

筑波大学附属病院などの勤務を経て、平成17年9月、千葉県館山市にファミール産院を開院

現在は千葉県内にて複数の産婦人科診療所を運営

大谷孝枝

監修 大谷孝枝

薬剤師・鍼灸師・国際中医専門員・中医薬膳師

中国漢方普及協会 学術委員

株式会社 誠心堂薬局 営業部課長


北里大学薬学部薬科卒

東京医療福祉専門学校鍼灸科卒