HbA1cとは?数値が高い原因や下げる方法を解説



第1章 HbA1cってなに?

HbA1cってなに?

1.1 血糖値とはちょっと違う「HbA1c」の意味

健康診断の結果を見て、「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」という言葉に戸惑ったことはありませんか?
この数値、よく血糖値と並べて見られますが、実は少し違う角度から体の状態を表す指標です。
血糖値は、採血したその時点のブドウ糖濃度を示す「瞬間的な状態」。一方、HbA1cは過去1~2か月の平均的な血糖状態を反映しています。日々の生活習慣の積み重ねがこの数値に表れるため、直近の健康状態をざっくり振り返る目安になるのです。
たとえるなら、血糖値が「一瞬のスナップ写真」だとすれば、HbA1cは「1か月分のダイジェスト映像」。多少の波があっても、全体的に高めの状態が続いていれば、HbA1cも高くなる傾向があります。
また、空腹時か食後かといったタイミングに左右されないため、検査結果にブレが出にくいのも特徴です。健診で「今回は高めだった」と感じたときは、ここ数か月の生活リズムや食習慣に変化がなかったか、思い出してみるとよいかもしれません。

1.2 健康診断で見かける数値の見方と基準

健康診断の結果表を見て、「HbA1c 6.1%」「基準値を超えています」といった表示にドキッとした経験はありませんか?
HbA1cの数値は、ふだん何気なく見ている人にとっては少しわかりにくいもの。そこでまずは、どのくらいの数値が目安になるのかを知っておくと安心です。
一般的には、HbA1cの正常な目安は「4.6%〜6.2%」とされています。もちろん医療機関によって若干の差はありますが、この範囲に収まっていれば、まずは安心といえます。
では、どこからが注意が必要なのでしょうか?

  • ● 6.0%〜6.4%:このあたりは「境界型」と呼ばれることが多く、「生活習慣を見直したほうがいいですよ」といったサイン。
  • ● 6.5%以上:糖尿病の可能性があるとされ、医療機関での詳しい検査や治療が必要になるレベルです。

ただし、ここで気をつけたいのが、「HbA1cがちょっと高めだからといって、すぐに糖尿病と決まるわけではない」ということ。一時的な体調変化や、測定条件によっても左右されることがあるため、まずは慌てずに、生活を見直すことから始めるのがおすすめです。
また、健康診断で「前年よりも上がっている」と気づいた場合は、それも大切なサイン。最近の食事や睡眠、運動の状況を思い出してみると、原因のヒントが見つかることがあります。

第2章 HbA1cが高くなる原因とは?

HbA1cが高くなる原因とは?

2.1 食生活や生活リズムの乱れが引き起こすこと

HbA1cの数値が上がる主な原因のひとつが「生活習慣の乱れ」です。
とくに、食事のとり方や運動不足、時間帯の乱れは、血糖コントロールに大きく影響します。
たとえば、こんな生活に心当たりはありませんか?

  • ● 朝食を抜いて、昼や夜にまとめて食べる
  • ● 夜遅くにドカ食いをしてしまう
  • ● 菓子パンや清涼飲料水など糖質の多いものが多い
  • ● 仕事が忙しくて運動の時間が取れない
  • ● デスクワーク中心で1日中ほとんど座っている

これらの習慣が続くと、体が血糖をうまく処理できなくなり、HbA1cがじわじわと上昇していきます。
また、食べる量よりも、食べるタイミングが重要になることもあります。
夜遅くの食事は血糖が下がりにくく、翌朝の数値にも影響
することが知られています。
加えて、運動は血糖をエネルギーとして消費する重要な手段。
1日10分程度の軽いウォーキングでも血糖値改善に役立ちます。

「ついラクを優先してしまう」—その積み重ねが、数値の悪化につながっている可能性があるのです。

2.2 ストレスや睡眠不足が体に与える影響

「食事や運動に気をつけているのに、HbA1cが高い…」そんな方は、ストレスや睡眠の質を見直してみましょう。
血糖値は、精神的・身体的なストレスの影響を強く受けやすいものです。
たとえば強いストレスを感じたとき、体内では「コルチゾール」などのホルモンが分泌され、血糖値を上昇させる働きが起こります。 本来は身を守るための反応ですが、ストレス状態が長く続くと、血糖が高止まりし、結果的にHbA1cにも影響を与えることがあるのです。
また、睡眠不足も血糖コントロールを乱す原因のひとつです。
質の良い睡眠が取れていないと、食欲を刺激するホルモンが過剰に分泌され、甘いものを欲しやすくなったり、過食に走ってしまったりすることもあります。
以下のような状況に思い当たる方は、注意が必要です。

  • ● 寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚めてしまう
  • ● 常に疲れが取れず、日中の集中力が続かない
  • ● 感情の浮き沈みが激しく、イライラしやすい
  • ● 気づかないうちに食事の量や回数が増えている

    • ストレスや睡眠の乱れは、HbA1c上昇の“見えにくい要因”です。
      「気合で何とかなる」と我慢を重ねるのではなく、意識的に休息をとることや、心身をリセットできる時間を確保することが、血糖管理にもつながります。



      2.3 年齢による変化で数値が高くなることも

      年齢を重ねると、若いころと同じ生活をしていても、体の中で起こる変化によってHbA1cの数値が高くなることがあります。
      まず、加齢によって筋肉量が減りやすくなることが原因のひとつです。筋肉は、血糖をエネルギーとして消費する大事な役割を持っています。そのため、筋肉が減ると血糖が体に残りやすくなり、結果としてHbA1cも高くなってしまいます。
      さらに、年を重ねることで血糖のバランスを保つホルモン「インスリン」の働きが弱くなっていく傾向があります。このホルモンは血糖を調整する役目を担っているため、その分泌量や効き目が落ちてくると、血糖コントロールが難しくなるのです。
      50代以降の方で、「食事の量を増やしていないのに体重が増えてきた」「最近なんだか疲れやすい」「健康診断の結果が前より気になるようになった」と感じている方も多いのではないでしょうか。こうした変化が出てきた場合、体の中で血糖の処理がうまくいかなくなってきている可能性があります。
      また、女性にとっては更年期によるホルモンバランスの変化も大きな要因です。閉経を迎えるころになると、体の仕組みそのものが変わってくるため、それまでと同じ生活をしていてもHbA1cが上がることがあります。
      自分では何も変えていないつもりでも、年齢による自然な体の変化が数値に表れてくるのは、実はとてもよくあることなんです。

第3章 HbA1cが高いままだとどうなるの?

HbA1cが高いままだとどうなるの?

3.1 血管や内臓に負担がかかるリスク

HbA1cの数値が高い状態が続くと、体の内部ではじわじわとダメージが蓄積されていきます。
とくに影響を受けやすいのが、血管と内臓です。
高血糖が続くと、血液がドロドロになり、血管の内壁が傷つきやすくなります。その結果、血流が悪化したり、血管が詰まりやすくなったりしてしまいます。
これが進むと、体のすみずみに栄養や酸素が届かず、以下のような症状を引き起こす可能性があります。

  • ● 目の血管がダメージを受け、視力が低下する(糖尿病網膜症)
  • ● 腎臓の機能が低下し、老廃物を排出できなくなる(糖尿病性腎症)
  • ● 神経が障害され、手足のしびれや痛みを感じる(糖尿病性神経障害)

  • これらは初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づいたときにはすでに進行していることが多いという特徴があります。
    「今は体調が悪くないから大丈夫」ではなく、数値が高めとわかった段階で見直しを始めることが、深刻な合併症を防ぐ第一歩になります。

    3.2 気づかないうちに進む合併症のこわさ

    HbA1cの数値が少し高いだけでは、すぐに体に異常が現れるとは限りません。しかし、それが逆に問題となることがあります。自覚症状がないまま、体の中では合併症が静かに進行している可能性があるからです。
    たとえば、腎臓に負担がかかり続けると、老廃物や余分な水分をうまく排出できなくなり、むくみや倦怠感、夜間の頻尿といった症状が出始めます。これが進行すると、人工透析が必要になるケースもあるのです。
    また、目の網膜にある細い血管が高血糖の影響で傷つくと、視力が低下したり、見えづらさを感じたりするようになります。視力は一度失われると、回復が難しい場合もあるため注意が必要です。
    さらに、血糖のコントロールが不十分な状態が続くと、神経にも悪影響が及びます。手足のしびれや痛み、感覚の異常といった「神経障害」が現れることがあり、これも見過ごしてはならないサインです。
    心臓や脳の血管にも影響が及ぶと、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な病気を引き起こすリスクも高まります。こうした合併症の多くは、初期には症状がほとんどなく、「知らないうちに進行していた」というケースが少なくありません。
    だからこそ、HbA1cが高めだとわかった段階で、生活の見直しや医療機関への相談を始めることが、将来の健康を守る第一歩となります。

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第4章 HbA1cを下げるにはどうすればいい?

4.1 日常生活の中でできること

HbA1cの数値が高めと指摘されたとき、多くの人が「何から始めればいいのか分からない」と戸惑います。 しかし、改善のために必要なことは、必ずしも特別な治療や難しい方法ではありません。まずは、毎日の生活の中で無理なくできることから始めることが、改善の第一歩です。
とくに大切なのが、「食事・運動・睡眠」の3つのバランスです。
食事面では、甘いものや脂っこいものを減らすことに加えて、食べる順番やタイミングに注意を払うことが有効です。たとえば、野菜を先に食べる「ベジファースト」や、夕食の時間を早めるだけでも、血糖の上昇をゆるやかにする効果があります。
運動は、激しい運動をする必要はありません。毎日15分程度のウォーキングや、階段を使うといったちょっとした工夫で、血糖の消費を促すことができます。継続が何より大切なので、自分の生活に無理なく取り入れられる方法を選ぶことがポイントです。
また、見落とされがちなのが睡眠の質です。睡眠不足が続くとホルモンバランスが崩れ、食欲が増すだけでなく、血糖値も下がりにくくなります。寝る前のスマホや刺激の強いテレビは控え、心身をリラックスさせて眠りの質を高めることが、体の回復を助けてくれます。
こうした小さな習慣の積み重ねが、数値の改善へとつながります。「無理をしない」「続けられることを選ぶ」ことが、生活習慣の見直しを成功させる鍵です。

4.2 医療機関での相談や検査の大切さ

HbA1cの数値が高くなっているとわかったとき、自分で生活を見直すことは非常に大切です。しかし、それと同じくらい重要なのが、医療機関での相談や検査です。
「まだ症状は出ていないから大丈夫」と思ってしまう方も少なくありませんが、HbA1cは、体の中で起こっている変化を知らせる大切なサインです。特に数値が継続的に高めだったり、急に上昇していたりする場合は、早めの受診をおすすめします。
医療機関では、HbA1c以外にも、血糖値・腎機能・肝機能などの関連する項目をチェックできます。それによって、原因の特定やリスクの程度を正確に把握でき、必要な対策が明確になります。
また、生活習慣の改善だけではコントロールが難しい場合には、薬によるサポートが提案されることもあります。これは決して「重症」だというわけではなく、体に無理のない範囲で血糖値を安定させるための有効な手段です。
近年では、医師だけでなく、薬剤師や管理栄養士、漢方専門家など、複数の専門職が連携してサポートする体制も増えており、より身近に専門的なアドバイスを受けられるようになっています。
不安を感じたときは、一人で抱え込まず、専門家に相談することが改善への近道です。体の状態を客観的に知ることは、将来の健康を守るための第一歩になります。

第5章 体のバランスから整える「漢方」という選択肢

体のバランスから整える「漢方」という選択肢

5.1 体質や年齢に合わせて無理なくケア

HbA1cが高めと聞くと、「厳しい食事制限や激しい運動をしなければ」と考えてしまう方も多いのではないでしょうか。ですが、数値の改善には「無理なく続けられる方法」を選ぶことがとても大切です。その一つの選択肢として、漢方や中医学による体質に合わせたケアがあります。
漢方では、単に数値だけを見るのではなく、その人の体質・年齢・生活習慣・自覚症状を総合的に捉えることを重視します。たとえば同じHbA1cの高さでも、疲れやすさを訴える方と、冷えやむくみを感じる方とでは、必要な対応が異なることがあります。
さらに、年齢による体の変化も考慮されます。50代以降は筋力や代謝が落ち、ホルモンバランスも変化しやすいため、若いころと同じ方法ではうまくいかないことが多いのです。こうした体の変化に寄り添い、内側から整えていけるのが漢方の強みです。
たとえば、睡眠の質を改善する処方、疲労感を和らげる処方、冷えやむくみを軽減する処方など、目的や体質に合わせてアプローチを変えられる柔軟さも魅力の一つです。
「無理なく、続けられる」ことが改善への近道。数値にとらわれすぎず、自分の体に合ったケアを取り入れることが大切です。

5.2 「腎臓」の元気が全身の健康につながる

HbA1cが高めの状態が続くと、目に見えないところで腎臓に負担がかかっていることがあります。
腎臓は血液をろ過して老廃物を排出する重要な役割を担っていますが、わかりやすい痛みや異変が出にくいため、気づかないうちに機能が低下してしまうことも少なくありません。
漢方や中医学では、腎臓は単なる排泄の器官ではなく、全身のエネルギーや生命力を支える存在と考えられています。特に「腎虚(じんきょ)」と呼ばれる状態では、疲れやすさ、むくみ、夜間頻尿、足腰の弱りなど、日常生活に影響する不調が現れるとされています。
たとえば、「朝から体が重だるい」「トイレが近くなった」「以前より疲れが取れにくい」といった変化は、腎臓の元気が少しずつ低下してきているサインかもしれません。 漢方では、こうしたサインを早めに察知して腎臓をサポートすることで、全身のバランスを整え、HbA1cの安定にもつなげていきます。
特に年齢を重ねて体力や代謝が落ちやすくなる時期には、腎臓を中心としたケアが、健康維持に大きな役割を果たします。

5.3 漢方相談で安心して続けられるサポート体制

漢方に興味はあっても、「自分に合うのかわからない」「始め方が不安」と感じる方は少なくありません。そんなときに役立つのが、専門家による漢方相談です。
相談の場では、HbA1cの数値だけでなく、生活習慣や体質、年齢による変化、日常的な不調なども丁寧に聞き取ってもらえます。その上で、一人ひとりに合わせた方法を提案してもらえるため、安心して取り組めるのが大きなメリットです。
さらに、薬剤師や鍼灸師、中医学の専門家といった多職種の専門家が連携してサポートする体制が整っていることも多く、生活習慣のアドバイスや体のバランスを整える方法まで幅広く相談できます。
また、オンライン相談に対応している薬局も増えており、自宅にいながら気軽に相談を始められるのも特徴です。問診後は体質に合わせた漢方薬が自宅に届くので、無理なく継続できる環境が整っています。
「一人で抱え込まず、専門家に相談する」—それだけでも気持ちが軽くなり、改善の一歩を踏み出すきっかけになります。

数値に振り回されず、できることから始めよう

まとめ 数値に振り回されず、できることから始めよう

HbA1cの数値が高いと言われると、不安な気持ちになってしまうのは自然なことです。「もしかして糖尿病かも?」「もう遅いのでは?」と心配になる方もいるかもしれません。
でも、大切なのは落ち着いて、今の自分の体の状態を受け止めることです。そして、できることから少しずつ始めることが、未来の健康につながっていきます。
食事の見直しや軽い運動、よく眠ること。それに加えて、ストレスを減らしたり、体を内側から整える漢方の力を借りたりと、選べる方法はいろいろあります。
数値はあくまでひとつの指標です。それに一喜一憂するのではなく、自分の体と丁寧に向き合いながら、日々の暮らしを少しずつ整えていくことが大切です。
そして、不安なときこそ専門家に相談してみてください。自分だけでは気づけなかったことや、前向きになれるきっかけが見つかるかもしれません。

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