元気な卵子を作ることはできるの?

「補腎とは卵巣の機能を改善して元気な卵子を作ることです」

元気な卵子を作ることはできるの?

「中医学の不妊治療で欠かせないことは?」の項でも触れましたが、「腎」とは西洋医学の腎臓とは異なります。つまり、生殖能力と最も深い関わりがあるのは、中医学でいうところの「腎」です。子宮・卵巣といった生殖器の働き、ホルモンバランスなど、妊活には欠かせない機能は、すべて腎によってコントロールされています。


腎の中には「腎陰」と「腎陽」の2つがあり、陰は物質的なもの、つまり卵胞の発育に必要な栄養や潤い、子宮内の血液や粘 液、女性ホルモンなどにあたります。一方で陽は子宮・卵巣の機能や温める力と考えます。ですから中医学の不妊治療では腎陰・腎陽の バランスをとりながら、腎の力を補う「補腎」が重要になってくるのです。


女性の場合、35歳を過ぎると「腎」の働きが悪くなっていきます。そうなればどうしても卵子も元気がなくなります。これは自然の摂理でもあるのですが、妊娠を望むなら元気な卵子をなるべく維持しなければなりません。そのためにも「補腎」は不可欠なのです。


補腎の大切さ

西洋医学の不妊治療で行われる「採卵」は卵巣に大きなダメージを与えます。ですから、採卵をする人ほど「補腎」をしっかりおこなってほしいのです。 採卵は普通の排卵と違って卵巣に大きな負担がかかります。それは中医学的に言うと「精」の負担になります。精が弱くなれば腎も、とうぜん弱くなってしまいます。


よく体力を回復するために「安静」にすると言いますが、採卵のような大きなダメージを受けた場合は、ただ寝ているだけの「安静」では十分とは言えません。ましてや、35歳を越して、機能低下している人は真剣に考えるべきでしょう。 採卵で弱った卵巣のままでは次の採卵でも元気な卵子を期待することはできないのです。採卵が1回で終わればいいのですが、不妊症の人は腎も弱い人がほとんどなので、もともと元気な卵子がなく、そのため何度も採卵するケースが多いのです。


補腎に気を遣う女性イメージ

不妊治療をしている人ほど、採卵をしたあとは卵巣を早く回復させる必要があるのです。採卵のあと、基礎体温が乱れる人が多いのですが、それは中医学では「腎精」が弱っているのが原因と考えます。この状態で採卵を続けても、元気な卵子は期待できません。それどころか、せっかくある卵が採卵によって取れなくなる可能性もあるのです。そうならないためにも、採卵をしたらすぐに「補腎」して、元気な卵子をつくる基盤を固めましょう。



更新日:2023-12-02