漢方薬 誠心堂

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中医内科学とは?

張 樹英 先生張 樹英 先生

中医学アドバイザー
登録販売者

上海中医薬大学医学部卒、東京大学薬学部を経て「中国漢方普及協会」専任講師として活躍中。誠心堂で肌のトラブルだけでなく、アトピーや不妊症、ダイエットなどの健康相談を担当。多くの女性から信頼をよせられている。

 

漢方って?

主婦
最近、友達から良く漢方薬の話を聞きます。漢方について興味を持っている人が増えているようですが、”漢方”って本来どんなものですか?

張先生
日本で言われいる”漢方”とは、中国の伝統医学のこと。正しくは『中医学』と言います。中医学は、『全体観』と『弁証論治』の二つからなり、それぞれの特徴を持っています。

全体観って?

全体観とは言葉通り、人体の生理・病理の症状だけを診るのではなく、生活習慣・地域・環境・季節など、人体を取り巻くあらゆる方面からの影響を視野に入れて、人体とのつながりを観察し、分析する考え方です。

A:人体内部の全体観

人体は、臓器・組織・器官で構成されています。さらに臓器と臓器、器官と臓器、組織と臓器が、それぞれ密接な関係を持ち、互いに影響しあっています。
例えば、肝と脾、肝と腎、肝と胆、肝と目・・・は大切なパートナーであり、切り離して考えることはできません。中医学では、人体の表面に現れた症状は、臓器の病変が外に現れたものとしてとらえているのです。

B:人体と外部(自然環境)の全体観

自然界の変化は季節によりその性質も変わり、人体にも影響を与え※①、これに対して体もいろんな反応を示します。
例えば、暑さや寒さに対する発刊の調整や、体温の調整などの 生理反応もその一つです。また冬の乾燥した空気は喉を痛めたり、湿度の高い時期は食欲を失わせるなど、自然環境は疾病の原因にもなります。風邪の性質も秋から冬にかけては風寒型、冬から春にかけては風熱型、春から夏は風湿型、秋から冬には風燥型・・・と季節により異なり、治療法も違ってきます。

※(1)自然界には、風・寒・湿・熱・暑・燥と呼ばれる六気があります。
これらが激しく変化すると人体に影響をあたえる原因(六淫)となります。

陰陽って?

主婦
我が家の献立は、家族の好みがバラバラなので毎日悩んでいます。主人は冷たいものを好みますが、キムチなどからいものを食べるとすぐに便秘や口内炎になってしまいます。私と子供たちは温かいものが好きで、生野菜やスイカなど身体を冷やすものを食べると下痢ぎみになります。また、風邪をひきやすいタイプです。普段の食生活で、気をつける点を教えてください。

張先生
中医学の基本理論では、自然界の一切の物事や現象を、『陰』と『陽』の相対する性質に分けて考えます。人体でも体表(皮膚など)と体内(内臓など)の関係では体表が陽、体内が陰と考え、暑がりと冷え症の体質では、暑がりが陽、冷え症が陰と分けることが出来ます。食材においても同様で、体を温める食材(例えばショウガ、ニラなど)は陽、体を冷やす食材(大根、スイカなど)は陰と考えます。さらに性質がまったく違う食材同士を『陰陽対立』と言います。体のバランスを考えれば、単純に、温める食材だけ、または、冷やす食材だけを食べるのではなく、陰と陽の食材を上手に組み合わせることが大切です。それが陰と陽お互いの行き過ぎを調節し、人体の陰陽バランスをとる事になります。これを『陰陽消長』といいます。

ご主人の体は陽性の体質なため、熱を冷ます陰の食材を好むようですね。大根・冷奴・くらげなどをおすすめします。しかし、その陽の体質が、さらに陽性の食物(キムチに含まれる唐辛子など)を取り入れすぎると、体内で反応し炎症を起こしてしまいます。奥さまと子供たちは陰性の体質のようですので、体を温める温野菜、ねぎ、生姜などがおすすめですね。
また、自然界の季節が変化するように、それに合わせて陰陽も変化します。例えば秋から冬の季節への寒気は、自然界の陰の現象と考えます。つまり体を温める陽の力が弱くなりますので、陽性の食材を多く摂ったほうが方が良いでしょう。逆に、春から夏の気候は徐々に暑くなり、陽性現象が現れます。気温の上昇と共に体温も高くなるため、体が涼しいものを要求してきますが、しかし、冷たいものをむやみに摂取せず、体の熱を冷ます陰の食材を上手く取り入れるのがポイントですね。

五行学説って?

主婦
春などの季節の変わり目にいつも体調が悪くなります。めまいがしたり、目が疲れやすくなったり精神的に不安定になることもあります。漢方医学ではどんな風に考えているのでしょうか?

張先生
中医学の考え方に先ほど説明した、陰陽という考え方のほかに五行という自然界の分類の仕方があります。つまり、季節は四季(春・夏・秋・冬)のほか梅雨(長夏)の5つありますね。また、季節に応じた特徴が自然界や人体には起こっています。

例えば、春には季節風が吹き木の芽が顔を出します。樹木の成長の季節と言えます。
人体では、流行性の結膜炎など眼の病気が増えます。木の芽時と呼ばれるように自律神経のバランスが乱れやすくなります。

個人差はありますが、確実に何らかの法則に従って自然界に人体は影響されているのです。このことを昔の賢人たちが見出したのが五行学説です。

春は、樹木の性質を持ち、人体においては肝(西洋医学では自律神経系を含む)は情緒や筋肉の柔軟性と密接な関係が有ったり、目に症状が出やすい傾向があります。このため、中医学では春に自律神経の失調に伴う、めまいや情緒不安定感のほか眼の症状が出やすくなると考えるわけです。

さらに、自然界でも冷夏や暖冬が他の季節に影響するように、人体においても影響を与えています。このような関係のことを、相生(そうせい)・相克(そうこく)関係と呼びます。例えば、相生では肝が心を、心が脾を、脾が肺を、肺が腎を養う関係となっています。この関係によって各臓腑は互いにたえず補充されています。また相克では各臓腑に余剰が生まれないように、肺が肝を、肝が脾を、脾が腎を、腎は心を抑制するように動いています。この相生・相克の関係が各臓腑の余剰や不足を生じさせない重要なメカニズムとして働いています。逆に、このメカニズムに異常をきたした時に、病気となってしまうのです。以下に五行の関係を示します。

臓腑弁証(息子:肺編)

主婦
最近暑くなったり急に冷え込んだりと不安定なお天気が続きます。そんな時、息子が風邪を引いてしまいました。頭痛と微熱、鼻詰まり、食欲もなく、吐き気も訴えています。もともと喘息もちのため、その症状もひどくなりました。また、便秘になるなど様々な症状にも悩んでいるのですが・・・

張先生
風邪は万病の源、と言いますね。その風邪を引き起こしている内因外因がもともと弱い呼吸器系の炎症を悪化させ、様々な症状を併発させています。中医学では呼吸器系疾患を主に肺機能の疾患と考えますが、西洋医学でいう呼吸器系の作用を指すだけでなく、体内の水液調整、気血の運行、異物に対する防御機能などにも関わっています。つまり、呼吸機能・体液代謝・体温調整・免疫機能などを含めた機能系といえます。気や津液などの体全体に送る働きをするとともに、人体にとって害となる濁気を外へ吐き出す、津液などを体表へ汗として送り出す、といった大きな働きがあります。また、肺は鼻・大腸と深く関わっており、鼻詰まりや便秘もその症状の一つです。肺機能を改善し、便秘の解消によって体内の毒素を排泄してしまうことも大切なポイント。季節的な風邪の性質も把握した上での対処が必要ですね。

臓腑弁証(本人:脾編)

主婦
子供を産んでから体重が増え始め、気が付いたら10kgも・・・。いろんなダイエットを試してみましたが、それほど効果はなく、逆に体調を崩してしまいました。最近では、体重がおちにく く、疲れやだるさが取れない上に、食後の眠気、多汗、動悸・息切れ、冷えやむくみなどの症状も見られるようになりました。便秘症でありながら下痢をするときも。独身時代は痩せ型で体重の変化もあまりなかったのですが、産後、体質が変わってしまったんでしょうか。

張先生
人は個々に違う体質を持ちその体質は、食生活などの生活環境や習慣によって変わります。さらに女性の場合、初潮・結婚・妊娠出産・閉経とともに体質が変化していきます。肥満もそれぞれタイプがあり、年齢とともに体質や環境を把握したうえで対処しなければなりません。奥さんの場合、四診上、下に歯痕が見られ、肥大という下の上に白膩苔があることから、水太りタイプと考えられます。気の不足(脾気虚)と新陳代謝の低下が、体内水液の停滞を起こし、疲れ・冷え・むくみや多汗などの症状を生み出すのです。
中医学でいう【脾】は、消化器官の働きや水分代謝に大きくかかわります。食したものを、脾と胃の共同作業によって消化し、身体にとって良いものを重要な物質に変化させ、吸収し全身に運びます。また脾の失調は「口」と深く関わっており、味覚や食欲に大きく関係するのも特徴。脾の機能が正常であれば、食べ物が血となり肉となって身体を作り上げることとなり、脾がバランスを崩すと、消化不良・栄養障害などを起こし、内臓下垂や慢性の下痢などを起こしてしまいます。栄養をちゃんと吸収し、老廃物をしっかり排泄する代謝促進を踏まえたうえでの減量が、健康を崩さない秘訣ですね。栄養分の消化吸収とともに、水分代謝の調整が重要ポイントとなります。

臓腑弁証(ご主人:肝編)

主婦
主 人は仕事の付き合いで夜遅くまでお酒を飲むことが多く、仕事でのストレスもたまっている様子。イライラしたり、怒りっぽかったり・・・。かと思えばちょっとの事で落ち込んでしまって眠れない、など気持ちにムラがありうつ病ではないかと不安になります。、もともと貧血持ちなのですが、近頃はめまいや立ちくらみ、心臓がドキドキするなどの動悸もあります。コンピューターを頻繁に使うため、目がかすみがちで、乾燥してしまい、ドライアイのような症状も・・・。まだまだ働き盛りなので健康には気をつけてもらいたいのですが・・・。

張先生
症状を聞きますと、軽い自律神経系失調とみられ、様々なストレスがその一因と思われます。その疾患は主に、「肝」の機能と深く関わっています。
肝は血液を貯蔵し、血液量の調節をします。休息や睡眠時には、血液の一部は肝に蓄えられ、活動時には必要とする器官に送るなど、各活動状態の違いに応じ、常に血量を調節しています。また、血と気は一緒に流れていますので、同時に情緒のコントロールも行います。肝には疏泄機能※という大切な役目もあり、その活動が正常であれば、気や血の流れが良く、外界からの刺激(ストレスなど)に対して正常な反応を行うことができます。肝は最もストレスを受けやすい臓腑で、肝機能が失調してしまうと、抑鬱・イライラなど様々な精神症状があらわれるのです。目は、五臓六腑すべてと関係がありますが、「肝病は目に現れる」と言われるほど肝とは密接な関係。ご主人の目の症状も、根本的には肝の疾患と思われますね。
漢方医学的には、「肝気鬱」と弁証。気の滞りと共に、肝の気を調え、疎通させることが第一となります。心のリラックスと共に、肝自体のストレスを解消してあげることが一番です。
※滞らず伸びやかにすること(●気・血が滞らず、循行する働き ●情緒の安定をはかる働き ●消化管の働きをコントロールする)

臓腑弁証(祖母:腎編)

主婦
先日、70歳になる祖母がちょっとしたことで転んでしまい、股関節を骨折してしまいました。ほんとに軽い刺激だったのですが、こんなにも簡単に折れてしまうなんて・・・。そう言えば、最近は背骨も曲がり、足腰も弱まり、トイレが非常に近くなって、それすらおっくうそう・・・。最近では物忘れも多く、耳も遠くなってきました。老化現象は仕方ないことですが、それでもより快適に過ごせるよう、また私達もいずれ来るであろう老後に備えて、アドバイス頂けますか?

張先生
高齢期における疾患の多くは【腎】と深く関わっています。中医学でいう【腎】とは、生命活動を維持する物質を貯蔵しているところ。つまり、命の基本物質(精)のタンクです。人の体の生殖能力・成長・発育そして老衰の過程に関わり、精気の盛衰が人の体の盛衰を作用しています。筋骨、歯、毛髪なども、すべて腎(精気)の働きとされるため、それらが弱まる(腎虚)と歯茎がぐらつく・歯が抜け落ちる・白髪・髪の毛が抜けてしまうなどの老化現象が現れます。特に、骨の成長・発育・修復を担っていますので、不足すると自然に骨が弱まり、折れやすい骨質(骨粗鬆症)になってしまいます。おばあちゃんの骨折も、弱くなっている状態に衝撃を受けたため、軽い転倒でもこのような大きな骨折になってしまったんですね。また、骨髄の造血機能や、脳・脊髄の活動も行っている為、腎の衰えと共に、耳鳴り・聴力減退・老眼・痴呆症(ボケ)などの症状があらわれます。軽い麻痺や、反応が鈍くなるのもこの為です。老人が骨折してしまうと寝たきり状態をきっかけに、痴呆症になってしまうことも。気をつけなければならないのは、治療中、脳への刺激がなくなりボケてしまわないよう、会話を頻繁にするなど身近な家族が常に刺激を与えてあげることです。骨の状態ばかりを看るのではなく、全体的にケアする必要があります。脳髄は、成長発育ホルモン、生殖ホルモン、女性ホルモンなどのホルモン分泌と深く関わっており、それらも大切な要素です。腎は、体内の水分を全身の各臓器に分布したり、必要のない水分を尿に変え膀胱へ運ぶ〔気化作用〕のコントロールもしていますので、腎気の衰えによって、頻尿や失禁してしまうのです。先天の精気※①を減らさぬこと、後天のの精気を増やすこと。外とのコミュニケーションを持つことが、生き生きとした老後を生み出すことにもつながるのです。
※(1)生まれながらに持つ精気 成長過程で補充している精気

臓腑弁証(祖父:心編)

主婦
近頃うちのおじいちゃんが、気候の変化による身体のだるさ、ちょっとした運動での動悸、階段の上り下りで息苦しさを感じるといいます。 お風呂上りに、胸の圧迫感を訴えることも。すぐ治るのですが、最近では徐々に数が多くなっている様子。夜もあまり眠れず、顔色もあまりよくありません。

張先生
加齢と共に心臓の筋力や血液が徐々に不足している様子。血管も細く、伸縮が鈍り始めていると思われます。心は生命活動の中枢であり、最も重要な器官の一つです。中医学でいう【心】とは、西洋医学でいう心臓の循環機能だけを指すのではなく、精神・意識活動や中枢神経系機能も含みます。つまり、心は精神・意識・思考などと深く関係するため、心の生理機能に障害が生じると、精神状態にも影響が表れると考えます(心血虚)。季節や気候の変化は情緒と結びつき、心を刺激します。前向きに捉えることが大切。夜眠れない不眠や不安感なども、心血の不足と考えられますね。また、“心は血脈を主(つかさど)り、その華(つや・輝き)は顔にある”と言われ、顔色がわるいのもここからきていますし、血管の伸縮が鈍ると、息切れや動悸となってあらわれます。激しい変化は避けなければなりません。漢方医学的には“オ血”ととらえ、血の滞りを取り除き、血液の循環を良くする(活血化オ)とともに、狭心症や心筋梗塞に至らない対応をする必要がありますね。