育児ケア
食欲不振

「ミルクをのんでくれない・・・」

お腹いっぱいになった赤ちゃんの寝顔は、こちらも幸せな気持ちになりますよね。 生まれてすぐは反射で飲んでいる赤ちゃんも、2か月頃からは満腹中枢が発達してきて「飲まない」と意思表示するようになります。

赤ちゃんが「お腹いっぱい」になる量は月齢や個人差がありますが、粉ミルクのパッケージに一回の目安量が書かれていることもあり、その量が飲めていないと不安に思うお母さんも多いのではないでしょうか。しかし、体重が増えていて元気なら必ずしも心配する必要はありません。

中医学ではどのように考えるのか、いくつかの状態に分けて見てみましょう。





生まれつきの体質

表情

人が持っているエネルギーは大きく分けて二つあります。
生まれながらに両親からもらっている「先天の精」と、生まれてから呼吸・飲食などで作られる「後天の精」です。
そして五臓六腑のうち、脾胃の力は消化吸収だけでなく、「食べたいと思う気持ち=食欲」にも関わってきます。

もともとの脾胃の力が弱い
→消化吸収ができない
→食べられない
という流れです。

つまり、少ししか飲めない/食べないというのはその量がその赤ちゃんの食べられる限界とも考えられますね。


ママへのアドバイス

先天の精が少なくとも、後天の精で補えますので、少しずつでも適切な栄養を摂っていれば脾胃の力もついて食べられる量も増えていきます。
無理やり食べさせると逆に脾胃を傷め、栄養を摂れなくなりますので、無理せずその赤ちゃんのペースに合わせることが大切です。





表情病気の後

一般的に病気の後は気血(エネルギー・栄養)が消耗している状態です。特に発熱・下痢・嘔吐などによる陰分(体を潤わせるもの)の消耗は胃に大敵です。
身体の潤いが不足している状態なので、ウンチが固くコロコロしていたり、皮膚・唇が乾燥しています。


ママへのアドバイス

病気が治った後も陰分が回復するには数日かかります。寝ている時間がいつもより長くなるかもしれませんが、必要な回復の時間です。時間だけでなく部屋を薄暗くする・刺激を与えないなど環境も整えて、ゆっくりと休ませてあげてください。




表情ストレス

大人にとっては小さなことでも、買い物・お出かけ・家族以外と会うなどは赤ちゃんにとっては大事件です。肉体的・精神的ストレスは気の巡りを滞らせ、胃腸の動きを悪くさせます。


ママへのアドバイス

特にお出かけやイベント後に食欲が落ちてしまった場合は、安心できる人とのスキンシップを増やして心を落ち着かせてあげましょう。




表情そもそもお腹が空いていない

意外と多いのがこのタイプです。
中国の昔の医学書に『乳貴有時、食貴有節』という有名な言葉があります。
これは、生後6か月までの離乳食が始まるまでの授乳期は「時」つまりタイミング・授乳の間隔が重要で、食事ができるようになってからは「節」つまり節度・量が重要だ、ということを示しています。
続きには「親が溺愛しすぎてこれを誤ると、赤ちゃんは胃腸の病になりやすい」ともあります。いつの時代も言われていることは似ていますね。


ママへのアドバイス

お腹が張っていて動きが悪く、ウンチに未消化のものが混じる・臭いが強いなどの特徴がみられる場合は、脾胃の動きが悪くお腹に食べたものが残っているのかもしれません。
いつもお腹に何かある状態では食欲もわきません。また、室内で過ごす時間が長い場合は身体を動かす遊びをするなどして空腹をしっかりと感じさせ、一回の飲む/食べる量を増やしましょう。



小児推拿しょうにすいな

小児推拿を行う際のポイント

1
肌トラブルがある箇所には行わない。
2
書かれた順番にこだわらず、触れる箇所から行う。
3
赤ちゃんの機嫌が良い時に、マッサージをする人もゆったりとした気持ちで行う。
4
「さする」の手技を行う際は、ベビーパウダーやベビーオイルを使いましょう。何もつけずに行うと皮膚を傷付ける可能性があります。お風呂上りにいつも使っている保湿剤などでもいいですよ。
5
基本的に小児推拿は肌に直接触れて行います。ただ、家庭で行う分であれば寒い時期に無理に服を脱がせるよりは、服の上からの刺激でも充分です。できる範囲で行いましょう。
小児推拿

1. 補脾経ほ・ひけい 100回
親指の外側を指先から掌に向けて、指で素早くなでます。

2. 運内八卦うん・ないはっけ 100回
手のひらに親指で円を描きます。

3. 分腹陰陽ぶん・ふくいんよう 50回
みぞおちに当てた両親指を、肋骨の下辺に沿って左右に開きます。

4. 摩中脘ま・ちゅうかん 100回
胃のあたり、おへそとみぞおちの中間を手のひらでやさしくなでます。


「赤ちゃん ミルク飲まない」などで検索すると対策は無数に出てきますよね。 母乳でもミルクでも離乳食でも、気を遣うところは無数にあります。
母乳が出ている?乳首の形?飲ませ方?哺乳瓶が気に入らない?ミルクの味?温度? 抱っこの仕方?室温が暑すぎる?
などなど…

妊娠中と違い、お腹から出てきた後は口から摂るものが赤ちゃんの栄養に直結することから、半ばパニックになってしまうお母さんも少なくありません。

繰り返しになりますが、心配に感じたらまずは「体重が増えているか」「元気に遊んでいるか」を見てみましょう。

そして、母乳/ミルク/ごはんをあげる人が、食べないからとイライラしたり、自分を責めて不安な顔であげてはいませんか?そういう気持ちが赤ちゃんに伝わっているのかもしれません。

どうか笑顔で、授乳/食事を一緒に楽しんでください。
授乳/食事が赤ちゃんのお腹だけでなく心も満たせる時間になるといいですね。


公開日:2023-02-15
更新日:2023-12-06

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